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「夢が一つ叶ったよ…!」

光は大袈裟なまでに喜んだ。いつかつくしと優紀と三人でお茶をしに行こうと言っていたが、ここでようやくそれが叶ったのだ。大袈裟だなぁとつくしと優紀は苦笑いしていた。

「今日は私が奢るから何でも頼んで良いよ。何だったらこの店の料理全部持ってきてもらってもいい!」

そんなに食べられないから!光の言葉に二人は大きな声を出した。規模が大きすぎてついていけないし!

「流石に冗談。話戻そうか。つくしはどうしてスキー行きたくないの?予想外の収益でそれ使って旅行だからプラマイゼロじゃないかなぁ」

「そーだよ!つくしの家族だって分かってくれるって!」

「光には言ったけどさ…」

つくしは重い口を開いた。先程言っていた道明寺に借りがある。それはつくしが100万円借りた事だった。それに驚いた優紀は大声を出した。

「えぇ!?道明寺に100万円借りたの!?」

「しーっ!声が大きいわよっ、優紀!」

「ごめん、あまりにもすごい金額で。それで返済のために大会に出て――あとの70万円は一日のデートで帳消し!?」

一日のデートで帳消しだとは聞いていなかった。だからクリスマスの時総二郎さんと美作さんが指南していたわけか。光は一人納得した。

「それは働いて返すことに決めたの。だからF4とカナダなんて行ってる場合じゃないのよ」

それでも…つくしはその話を切って一人帰らなきゃと席を立った。慌てて光と優紀は追いかけた。

「ちょっとつくし!送るってば!」

「いいよ。歩いて帰りたい気分だし」

「ちょっとつくし!」

一人にして欲しいと言うのに光はずっとつくしを追いかけている。つくしは立ち止まり振り返った。

「光!…ちゃんと考えるからさ、今は――」

「いや、カナダは置いておいて、今日のお茶はお茶と言わないから、後日ちゃんとお茶してよね。私はそれだけで充分!じゃあ、気をつけて帰ってね」

光って実はちょっと抜けてるんじゃないか、そう思った。まさかそっちの話だとは…。車に乗り込むのを見てからつくしは一人歩き出した。

「なぁ、光。お前牧野の家の電話番号知ってっか?」

西門家の車に乗り込んだ光は、先に乗っていた西門の第一声に首を傾げた。

「うん、手帳に書いてある」

「よし。じゃあ、まず牧野ん家に電話してから司ん家な」

「え、じゃあ、私は降ろして。私これから総二郎さんのおかあ様に夕食に誘われてるの」

「はぁ?めんどーだな。俺から断っておくから。なんとか牧野をカナダに行かせるぞ」

どーしてそこまで必死なんだろうか。首を傾げる光の肩に西門はガシリと手を伸ばす。それに光は何?と呟いた。

「いいか、お前は牧野が実はものすごく行きたがってる事を司に伝えろ!」

「嘘つけって言うの?」

「そろそろあいつらをなんとかしてやんねーと」

「お節介って言うんだよ、そういうの」

うるせ。西門は光の頭を小突いた。



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