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「君さ、本当に英徳の生徒?俺見つけられないんだけど」

その言葉に光は小さく笑う。

「何?何かおかしい?」

「いえ、また会って下さるとは思っていなかったので」

下手をしたらあの後すぐに暴言がきっかけで婚約破棄されるとさえ思っていたのに。それか赤札か。その覚悟はしていた。光のそんな予想は良い意味で裏切られたのだ。教諭に聞けばすぐに分かるだろう。それをしないのは見つけるのに余程の自信でもあるのだろうか。

「俺ね、自慢じゃないけど一度会った女の顔は忘れないタイプでさ。君みたいな美人なんか特に、ね」

その言葉に光は笑みを零す。これがナンパの常套句?だけれど、そんな安い言葉に頬を染めたりはしない。ニコリと微笑んで一つの提案。

「ならゲームしましょうか。あなたが私を見つけられるか」

「へぇ、景品は?」

「そうですね…何が良いですか?」

「なら、俺とデートしようか」

「却下です。生憎私はそんなに暇ではないので」

俺とのデートを即答で拒否した!?西門はそこにショックを受けた。今まで俺とのデートを拒否した女なんかいなかった。どんな予定よりも優先されるはずなのに。

「お名前で呼ぶ、なんて言うのはどうです?」

「はぁ?何それ」

「ゲームの景品は最初から豪華だと後がつまらないでしょう?どんどん上げていくものですよ」

にこりと笑う光を見て西門もニッと微笑む。何だ、この女。普通の令嬢じゃない事は確かだ。この挑戦的な目は英徳で見られるものじゃない。どこかに余裕を感じる笑み。

「いいね、それ」

面白い。

「では、それで」

「後さ、君の喋り方。それも気になるんだよね。前回の暴言が本心なのか、今の君が本心なのか。分からないんだよね〜」

「それもその内景品になりますよ、きっと」

光は楽しんでいる。良家との結婚が目標のはずが、特別気に入られようとか、特別媚びを売るわけではない。お互い本心を見せずって所か。いいね、それもまた。別の意味で楽しめそうだ。西門も不敵な笑みを浮かべた。

「そういう女落とすの楽しそうだな。プレイボーイの名にかけて」

「あくまで通り名。上辺だけの名じゃないと良いですね」

「うん、そうだね。君も簡単に落ちないでくれる?難攻不落な女落とすのは燃えるから」

こういう楽しみ方もありだろう。こういうのを司が聞けば首を傾げるに違いない。西門はそう思った。そう、これはゲーム。人生と言う名のね。



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bkm
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