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ティーン・オブ・ジャパンの会場は武道館。その規模の大きさに光は呆然と口を開いたままその広さを見渡した。観客も随分と多い。満員じゃないか。

「光ちゃんも本当ならあの場に居たはずなんだけどな。俺、光ちゃんなら優勝出来ると思ってたのに残念」

美作の言葉を聞いて光は口元を押さえ内緒話のように隣の西門を見上げる。

「…どうしよう、総二郎さん。私美作さんに口説かれてる」

内緒話のようだが声量は通常通りだった。

「ナンパの常套句だ。騙されるのは軽い女だけ」

「総二郎さんの周りに居る女の子って事…は、私もそれに含まれるのか?」

「ぷっ…二人、ホントに面白い…。漫才見てるみたい」

光と総二郎の冗談に類は口を押さえて小さく笑った。

「お前等うっせーよ!始まっから黙ってろ!」

まさか道明寺に事実を言われて諭されるとは思ってもみなかった。光は呆然とステージを見た。大人気の歌手がコンサートをやるような場所でコンテストをやるなんて。光は心底出場しなくて良かったと思った。つくしを応援するだけで精一杯だ。さっきから視線と黄色い歓声が響くのはF4と道明寺椿のせいだった。

「なぁ、歓声に混ざってお前を呼ぶ声もあるぜ?良かったな?」

「よくないって。この前学園内で男の子に一生着いていきます、姐さんって言われたんだけど。しかも千人斬りの噂が決定事項になってる」

いつの間にか百人も千人になっているし、本当に噂って怖い。光は額を押さえる。

「…ぷっ…あんた、ホントにおもしろっ…」

「花沢さんは笑い過ぎです」

いじめられるよりは良いが、自分より何倍も体格の良い男子に着いて行きますとか言われても、あまり嬉しくはない。…光は思い出して眉間に皺を寄せた。

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