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翌日、学園内は泣き声に包まれていた。あちらこちらで泣いている女子を光は横目で見た。今生の別れでもあるまいし、君達なら会いに行こうと思えばすぐにでも飛んでいけるじゃないか。とても授業を受ける気にはならない、光はただ廊下を歩いた。

「あ、つくし見つけた」

「…光。光は見送り行かないの?」

「つくしが行かないのに私が行くわけないじゃん。道明寺さんと特別仲良いわけじゃないし」

西門に誘われたが、またいつもの様にF4で行かなきゃと断っていたのだ。いい加減学んで欲しい所だ。

「…つくしは行かないの?」

「…桜子に言われた。ひきとめられるのはあたしだけだって。あたし、ひきとめるなんてそんな事思わなかった」

「うん」

「…ただ少し寂しいって思っただけなんだよ」

そっか。光はそれ以上何も言えなかった。つくしはそれでも思い出を語る様に喋り続ける。

「…あたしさ、クラスメイトで比較的仲の良かった子がね、道明寺に直撃したのを助けてから…始まったんだ」

あいつのあの時の顔ったら…つくしは笑いを零した。

「あの時はただもう怖くて存在だけで、こんなふうになるなんて想像もつかなかったな。あたしはただの臆病な女の子だった。心の中で変わりたいと叫びながら」

私と一緒だ、光は小さく頷く。

「あたしを変えたのはあいつかもしれない」

そういう捉え方もあるんだね。私はつくしを助けたくて、つくしみたいになりたくて一歩踏み出した。少し理由は違うけれど自分を変えてくれた人の存在は大きい。

「変えてくれた人ってどんな人でも大事になるんだね…私はつくしが変えてくれたんだよ?」

「あたしが?」

「私もずっと変わりたいと思ってた。嘘ついてるのが嫌で自分の言いたい事、やりたい事を胸張ってしていたい。自分にも他人にも恥じない生き方がしたいってそう思ってた。それをつくしがやっていたから私はあなたに憧れていた」

それを聞いてつくしはえ?と顔を赤くする。あたしはそんな事を言われる程大層な人間じゃない。

「お、大袈裟だよ…!あたしは耐えらんなかっただけで」

「そういうのを一番にやるのってすごく勇気がいる事だよ」

だから私はあなたに着いて行きたくなったんだよ。友達になりたかったんだよ。立場なんて関係無い、どこにでもいる普通の友達に。

「…あ、ありがとっ…!あ、あのさ、あたしバイト増やしたんだ!それの割引あげる!」

つくしはポケットから割引券を取り出し光に差し出した。

「バイト増やしたって…大丈夫なの?」

「あ、うん!結構慣れてきたしね、じゃあそろそろ教室戻るわ!授業料高いから受けなきゃ勿体無いし!」

「あ、ちょっとつくし!」

バイト増やしたって何かあったの?光がそう聞く前につくしは光の目の前からいなくなった。つくしは教室に向かう廊下の窓から空を見上げるとそこを横切る飛行機。

「あ…あの飛行機かしら」

呟いて飛行機が見えなくなるまで見送った。



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bkm
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