「なっ、なんだよ、そんな所につったって、まっ、まだそんなかっこしてんのか!」
道明寺はバスケをした時の格好のまま。この時期には当然肌寒い格好だった。
「つっ、つかれたろ、今日はゆっくり休め!なっ」
「だめよ」
なんとか誤魔化そうとした二人の前に出たのは椿だった。
「こういうことはかくしちゃだめ。司。類とつくしちゃん、ベッドルームに二人でいるの。たぶん朝まで出てこないわよ。あんたも男だったら男らしく見守ってあげなさい。わかってんでしょ?」
その椿の言葉に酔っ払いの戯言が入っていない事は確かだった。焦る西門と美作を前に司は予想外の反応を見せた。
「…類もなかなかやるじゃねーか。なあ?上等上等」
「つっ、司!」
「おまえそこまできたかっ!」
「…あんたやっぱいい男になったかも」
椿は小さく呟いた。
「俺はハラへってんだよ、なんか食わせろよっ!」
「よしきたっ。コック呼べ!」
「今夜はのみあかそーぜぇー!」
司の成長を目の当たりにして西門と美作のテンションは上がった。一方司は真剣な眼差し。光はその司の横顔をジッと見ていた。
「光!お前酌しろ!酌!」
「何で!?そんな夜の接客業みたいな事を…!」
「お前普段から接客業してんだろーが!」
酒注いだ事はないっての!接客イコールと全て繋げるのはどうかも思う。光は深い溜め息を吐いた。
終
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