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「俺としてはお前等二人がヤッてなかった事が意外」

総二郎がこんなモデルの様に美人女に手を出さないなんて。そしてそれになびかない女子がいるなんて。美作は純粋にそう思っただけ。

「面倒事には手を出さない主義なの、俺は」

「人を面倒事扱いはよくない。私に言わせてもらえば性欲処理には使われたくないだけ」

「性欲処理って…」

光の言葉に美作は片方の口角を上げた。お陰でおしとやかなお嬢様のイメージは完全に消え失せた。

「…でも、美作さんなら良いかもしれない」

「俺?」

光は小さく頷いた。婚約者の西門ではなく美作を選ぶ理由は何だろうか。

「…美作さんって空気が優しくて好きだなぁ、結構」

空気が優しい?西門と美作は首を傾げた。それに光は小さい笑みを浮かべて、酔っ払いの戯言だと思って良いと話を切った。

「それにしても良い時間経ったよな?あの二人もう始めてると思う?」

「下世話な言い方するんじゃないっ」

「どーかなあ。二人共奥手っぽいじゃん」

「でも類も男だろー女と二人きりで密室に入りゃトーゼン…」

「あんたといっしょにしないっ!」

確かにそれもそうだ。光も声を出して笑った。男と女がやる事と言ったら一つ、という思考が面白くて仕方なかった。

「なんだよ、ねーちゃん」

「あたしはねー同じ女としてつくしちゃんにはきれーなきれーな思い出を作ってあげたいのッ。どっかの誰かに無理矢理おそわれそーになる前に。ね!光ちゃん!」

「そうですね。ずっと思い出に残るような、できたら最初が最後の人が良いと思うんですよね、つくしは」

ありえねー!と二人の男は笑った。それに分かってないねと二人の女。女だからこそ理解し合える所がある。光と椿、その二人にはとても深い共通点がある事等気付いていなかった。

「ったく、女って生物はすぐ思い出を作りたがるんだから。類と牧野なんてコメディーだぜ」

「おっ、おい、つっ、司」

何に焦っているんだ、美作さんは。そう思い光は伏せていた顔を上げるとそこには話題の中心道明寺の姿があった。西門は当然それに気付いていない。

「司ー?司だったらもーギャグだせギャグ!」

「ばっ総二郎ッ」

「なんだようっせーな」

「うっ、うしろ!」

そこでようやく西門は後ろに道明寺が居る事に気が付いた。この話題はやばい。暴れるのが想像出来てしまう。固まった二人の前に空気を読めていないのか光が前へ出て恭しく頭を下げた。

「道明寺さん…お邪魔しています。椿さんに招待されまして――」

「アホッ!」

西門は慌てて光の口を塞いだ。これ以上ややこしい事すんなと言う意味が込められいる。

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bkm
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