英徳の校門前には人だかり。F4見たさの女性達、そして道明寺と光が標的のマスコミ。だったが、その二人は卒業式に現れる事は無かった。
「つくしちゃん今日やっぱ来れないのかな。引越しって言ってたから」
「牧野、また引っ越しかよ」
「あいつんち貧乏なのって引っ越し貧乏ってやつじゃねーの?」
そこには制服を身に纏うF3の姿。
「は、初めて見た!制服姿!」
つくし達を待っていたはずの桜子と和也はそれを見て驚いた。
「もう一生着るもんじゃねーし、最後くらい着とくかって感じ」
いや、一度だけ着たか。それは今となっては思い出の一つだった。
「もう式始まりますけど行かないんですか?」
「出るわきゃねーじゃん。かったりー」
「道明寺さんは?」
「あいつ今日会議とか言ってたからプロムから来るんじゃん」
会議って似合わなすぎ、美作は笑った。
「宮永先輩は?」
「光は今日対談があるとかであいつもプロム参加。で、俺らお前等に重大報告あっから」
重大報告?一体なんだろう。考えてもその場にいる皆には分からない。
「そういえばつくしちゃん昨日の電話で変だったんだよ。僕が3年になってもよろしくねって言ったらすこし間があいて近いうちに話があるって言われて――もしかして英徳やめちゃうってことあるのかな」
つくしの事情も分からずじまいだった。転学届けを手にしている事なんか。