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「お前の手は華を生けるもんだろうが」

折角綺麗で長い指をしているのに勿体無い。今では絆創膏だらけだ。絆創膏だけじゃ取れるから包帯を巻いてやれ。そうしたら両手に包帯となってしまった。

「でも、守れた」

牧野さんも、自分も。光は小さく笑う。そんな時西門の部屋の電話に道明寺から電話があった。

「あ?あぁ、光?え、今一緒いるけど、はぁ!?ちょっと待てって!」

ちゃんとした事情も聞けていないと言うのに。西門は首を傾げたまま光のもとへ戻り、手当ての続きをした。

「光。司がありがとよ、だって。意味わかんねーんだけど」

「じゃあ、こっちこそって言っておいて」

「もう電話切ったっての!にしても一体何があった――…」

それを聞いても闘ったとしか言わないからと、西門は途中で言葉を発するのを止めた。

「…髪、乾かしてやるよ」

「何から何まですいません。流石に家に帰ったら色々と怖いし」

万が一にでもおばあ様にこの顔を見られたら…倍以上腫れるに違いない。

「女が顔に傷つくんなよ。折角綺麗な顔してんだから」

「はーい」

「後ケンカやめろ」

「え」

ケンカはしたくてしたわけではないんだけどな。髪を乾かしてもらいながら光は西門を見上げた。

「代わりに俺がしてやるから」

「…ホントに?私強いよ?」

「俺は空手段持ってるし。それに女は男に守られてりゃいいの」

「へぇ、総二郎さん強いんだ!今度相手してほしいな!」

「するか、バーカ。ほら、前向いてろ。髪長くて乾かし辛いんだから」

はーい。そう言いながら光はずっと笑顔を見せていた。私はこの人の事を誤解していたようだ。最初はただのちゃらんぽらんとタラシだと思っていた。でも、今は実は優しい人、細かい所や小さな変化に気が付く人。女は男が守るって言うのをしっかり持っている人。私、この人なら結婚して良いと思った。私はきっとこれから一人じゃない。私の孤独はここで終わった。



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