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光は車内のテレビで道明寺家の状況を知る事になる。今回道明寺の父親が倒れ、道明寺が継ぐという形で高校卒業と同時に渡米するらしい。以前噂になった女性は――その質問が来て光はテレビの音量を上げた。

《4年後、必ず迎えに行きます》

その言葉につくしはなんと返しただろう。もしかしてつくしもニューヨークに行ってしまうかもしれない。それがそうでも良いと思っている。その夜光は珍しい人物からの着信を慌ててとった。

《光!おめでとー!》

うわ、声大きい…光は携帯を遠く避けた。お前うるせぇ!隣に道明寺もいるんだ。光は微笑む。

「ありがとう、つくし」

《最年少だってね!さっきテレビでやってた!本当にすごいね!》

「ありがとう」

道明寺のニュースが大きすぎてあまり放送される事は無いだろうと思っていたけれど、それは光の勘違いだったらしい。

「つくし。私は夢を叶えたよ。次はつくしの番」

《…うん》

そして光はつくしとの通話を切り、電話をかける。

《もしもし?光ちゃん?》

「夜分にごめんね。今忙しくて直接会う時間が無くて」

《ううん、いいよ。すごい賞取ったんだってね!おめでとう!》

「うん」

光は大きく息を吸い込んだ。

「あ、あのね、私――」

《西門さんの事だよね?》

優紀の言葉に光は小さくえっ…と声を出した。

《ごめんね。あたし、西門さんが光ちゃんの事、気になってるの知ってた》

それに光は何も言えなかった。

《…でも、あたしは自分を優先しちゃったの、だから光ちゃんは謝らないで》

どうしてこの子はこんなに優しいんだろうか。最近涙腺が弱くて仕方ない。

「ち、違うよっ…私が悪いのっ……私、ずっと言えなかった…っ」

《光ちゃんも西門さんが好きだったんだね…ごめんね。私が相談したばっかりに何も言えなかったんだよね。…その気持ち分かるよ》

この汚い気持ちは綺麗なあなたには絶対に分からないよ。

《あたしね、これから素敵な恋をしようと思うの。西門さんの事をもうなんとも思っていないって言ったら今は嘘になってしまうけれど…応援してるよ!光ちゃんの気持ち、ちゃんと聞けて嬉しかった》

うん…うん…光は何度も頷いた。



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