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「お待たせ、総二郎さん」

「お疲れ」

本当に疲れたよ。西門と光は合流した後車を使わずに歩き出した。

「で、出来はどうだったんだ?」

「さぁ。私は出来るまでの事を精一杯表現したよ。すっごい楽しかったんだよね。私の心が具現化したみたい」

花は好き。華道も好き。それが初めて楽しいに変わった。人のやる事、楽しいが何よりだと思った。

「結果は?」

「すぐだよ。明日くらいじゃないかな」

そりゃ早すぎだろーが。そんな雑で良いのか…。この大雑把でガサツな奴め。

「んじゃ返事どーぞ」

「…総二郎さんさ、ロマンの欠片全くないよね」

「光そんなん見せたら笑うだろーが」

確かに。ロマンなんて見せられたら笑い過ぎてロマンチックの欠片も無くなってしまうだろう。挙句の果ては涙を零しながら爆笑する自分が見えている。光は息を大きく吸った。そして真っ直ぐ西門の目を見据えて言う。

「総二郎さん。私はあなたが好きです」

知っていた、どこかで気付いていた。いや、それは願望だったのかもしれない。そういう可能性を信じてみたかった。

「…おう」

「私は嘘の告白はしないよ?前のは流されたけど」

「……はぁ!?あれ、本気だったのかよ!?」

だよね、うん。光は呆れるように頷いた。私の言い方も悪かったからそれはお互い水に流そうか。お互い悪い所がありすぎてこれ以上その話は出来なかった。

「だからね、私にあなたの本気を見せて」

正直まだ信じられないんだもん。光は小さく笑った。急激な変化に私の方が対応出来ないわ。確かにそれもそうだ。西門も自分の変化に驚いているのだから。西門は笑みを浮かべる。こいつはやっぱり一筋縄にはいかなくて、だからこそ楽しい。

「そしたら私は代わりに、私の全部あげる。身体も気持ちも全部。これが今回の報酬。ゲームの最終景品」

簡単にクリア出来るゲームの景品こそ安いもの。難しいゲームだからこそ景品が豪華になる、そうだよな。

「…あぁー…なぁ、抱きしめてもいい?」

「だめ。外だから」

「じゃあ、家行こうか」

「…やだ。先が見えるから」

「うわ、お前変態」

「……私が着物着てて良かったなぁ?確実に回し蹴りしてたレベル」

そう言いながら光達は笑いながら歩く。二人の手はしっかりと繋がれたまま。お互いが大事で大事過ぎてたまに守ろうとする。大丈夫、案外人がそこまでもろくないらしい。自分がそうだったのだから。



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