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「なーんかここ2・3日総二郎の様子がおかしいと思わねえ?」

美作の言葉を光はぼんやりと聞いていた。様子がおかしい事は事実だった。放課後になればすぐにいなくなる。かと言って女と遊んでいる様子も無い。学校でもぼんやりしている事が増えた。そして光に何の連絡も無い。普段ならくだらぬ事でも電話してくると言うのに、それすらもない。

「どーせ女だろ?」

「あ…あのさ、西門さんて好きな人いるのかな」

つくしの言葉にその場に居た者は驚いた。そして光はすぐに気付く。つくしは優紀から相談を受けているという事を。何故なら普段のつくしなら西門の話を突然出したりはしないからだ。美作の視線が一瞬光に移る。

「なんだよいきなり」

「あいつは女なら誰もいいんじゃね?みんな大好きなんじゃねーの」

「みんな大好きってゆーか、あいつは誰も好きじゃないって感じがするけど」

「案外一途な恋してるかもよ。って事で皆さんそろそろ何か食べません?私稽古前に腹ごしらえしないと」

光は話を逸らすようにメニューを皆に見せた。つくしは納得していないと言うか、心配している顔。美作に出来たのは話を逸らした光に乗ってあげる事。

「光ちゃん食い過ぎても、そのスタイルを保つコツは?」

「え?そりゃ規則正しい生活。適度な運動!」

「宮永の場合その適度が適度じゃなさそう」

「だから!類さんは一体私にどんなイメージ抱いているんですか、もう!」

体力バカとか運動バカとか絶対にそう思っているに違いない。光は確かにその通りだけれど、類を睨むが自分で笑ってみせた。腹ごしらえをした後光は皆より先に店を出た。

「あれ、優紀ちゃん。どうしたの、こんな所で」

「うん、西門さんに会ってて……それでね、あたし言ったよ。遅くないから頑張れって」

「…よく言ったね」

光は優紀を抱きしめた。街中で突然抱きつかれた優紀は光の行動に慌てるも光が離す様子は無い。

「光ちゃん…?」

「…ありがとう」

私が言えない言葉はいっぱいある。言ってはいけない言葉も、言っても信じてもらえない言葉も。だけど、彼女の言葉はレパートリーが多くて沢山彼に届くだろう。私の代わりに総二郎さんが変わってよ。そして私は変われるはずだから。

「…ねぇ、光ちゃんってもしかして――」

光はその先は読めて指を一本立てた。そう指は何も言わないで。そう言っている。

「さて、私も頑張るよ!じゃあね、優紀ちゃん!…私が言うのもおかしいんだけど、総二郎さんの事、よろしくね」

「光ちゃんっ!」



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bkm
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