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「あれ、総二郎さんだー」

「光…。お前相当酔っ払ってんな」

まぁね。光はグラスを見せて微笑んだ。その頬は赤く、元が色白のせいかドレスから覗く首元まで赤い。

「…お前から見て俺は変わったか?」

光はそれを聞いて唖然とした。変わった?そんなの変わったに決まってるじゃない。その言葉を言う時点で変わったでしょうが。そう、優紀ちゃんがあなたを変えたのね。やっぱりそうだったか。敵わないなぁ。

「…今の総二郎さんいい顔してるよ」

「…そうか」

きっと良い出会いがあったのね。良い変化があったのね。光は寂しげに笑った。

「…俺さ、多分お前に言わなきゃいけねぇ事あんだよ」

「多分って何よ」

光は小さく笑う。自分の中で曖昧過ぎるでしょうが。

「多分は多分だよ」

意味わかんねぇー…光は心の中で呟いた。

「…でもさ、ちょうど良かった。私も総二郎さんに言わなきゃいけない事があるんだ」

「何?」

「…ん〜今言っても良いんだけど、酔っ払ってるから戯言だと思って流されちゃうかもしれないし、もうちょっと決心が着いたら言うよ」

酔っ払っている今、婚約破棄を言い渡した事でどうにかなるとも思えない。それに自分の思考もおかしい事になっているだろうし。総二郎さんが笑えば私も笑ってしまう。まるで鏡みたいに。冗談だと言われれば冗談だと返す。笑ってくれれば笑うし、泣きそうなら私も泣きそうになる。今の総二郎さんは変わった。だからきっと私も変わる。

「そんな重大なわけ?」

「いや、そこまで重大じゃないよ」

捉え方次第。

「総二郎さんの方が重大?」

「あー…重大かも」

だからさっきから多分とかかもってどれだけ曖昧!?もう笑いしか起きて来ない。それでね、私が笑うとあなたも笑うよ。

「何笑ってんだ、お前!」

ほらね。私が進めばあなたも進む?それは自己満足だったね。そこは無関係。

「ん〜!食べすぎてお腹いっぱい!」

「そーいや何で着物脱いだんだ?」

「帯苦しくていっぱい食べれないし。今日は目一杯楽しむって決めたの!日展まであとわずか!」

「応援してっからな。頑張れよ」

「おう、任しとけっ!」

「ドレス勿体ねぇ…」

「しみじみ言うな、バカっ!」

笑顔が伝染すればそれだけでも嬉しいの。



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bkm
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