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あなたは真っ直ぐ揺らがない一輪の孤独な花。それでも自然と人が集まってくる魅力がある。それと対の様な、正反対のような枝は過去の私。だけれど希望を見つけた。脇役だけれどその魅力に惑わされ自身も光る。
あなたは掴めない空気みたいな存在なのにしっかりとその存在感を現す。優しくて時に危うくて目が入ってしまう。そして私が好きな人。嫌いなのに私の目にしっかりと映りこみ、人の心を散々かき乱している事にも気付かないバカな人。
大事な人達を思い出しながら光は花を生ける。皆大好き。出来てゆく花は独創的。そして最後にこれからの私。潔く椿を差し込んで、光は花ばさみを置いた。満足行く物が出来た。私の全身全霊。それを皆は呆然と見ていた。

「ちょっと皆さん止まらないでくれる?だから余興には向かないって言ったの。自由花なんだし、そんなかしこまらないで」

西門はスゥと綺麗に頭を下げた。光はそれに目を見開いて驚いた。西門は全体を見て、構成を見て、花器から全て見た後感謝の言葉を言う。

「…ありがとうございました」

光はそれに対して座り直し頭を下げた。そして顔を上げ、恥ずかしさを隠すように声を出す。

「これ、道明寺さんの復帰祝いですから!なんとか崩さず持って帰って下さいね!」

「おう」

「類さんは満足したでしょう!?」

「うん、ありがと。あんま花の事知らないけど、すごいって事だけは分かった」

そりゃどうも、光は苦笑いをした。そもそもこいつが元凶なんだが?

「光ってばすごいね。私も花習ってるけどさ、何かやっぱり違うよ。心に響くものがあるって言うの?」

「あたしも花はわかんないけど、好きだよ」

「シゲルさん、つくし。花の解釈は人それぞれ。良いって言う人もいるし、嫌だっている人もいる。それで良いんだよ」

「宮永先輩っ。今度私にも花を生けて下さいよー!」

まぁ、お金取るけどね?光は笑ってみせる。それに周りは笑っていた。西門は光の作品をジッと見る。それを横目で見る優紀。その視線に気付く光。それに気付く美作。



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