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「ねぇ、あんたってすごいんでしょ?俺あんたが華生けてるとこ見たい」

突拍子も無い事を平気で言ってのける類に溜め息が出た。そもそもどこで生ける?なら司の復帰祝いの席で。良いイベントになると思うよ。なんて事を思いつくのだ。そう言う前に類は司に話しつけとくから。

「…なんて面倒な事を…」

光は深い溜め息を吐いた。そして店を貸しきった道明寺の復帰パーティー。光は着物に身を包んでその場で溜め息を吐いた。つくしと優紀が遅れて来た。

「それにしてもほんとどうなることかと思ったよな。いちおー二人の間にもう障害もないじゃん?」

「あ、そうだったね。あのねあんたのお母さんが」

「聞いた1年のゆーよってやつな。ぶっち切ってもいーし、まーそんとき考えりゃいいし、つーかもう記憶ない時みたいなカラッポなのはもうごめんだな。おまえがいればそれでなんもいらねーし」

二人の世界を作っているつくしと道明寺をシゲルは冷やかした。その後すぐにシゲルが声を出す。

「これから光の余興があるんだってー!」

「余興じゃないよ、もう。盛り上がらないと思うけど」

「こいつの腕前見とくのはありだぞ」

「プレッシャー与えんな!」

西門を睨みつけて光は準備してきた物を持って隣の和室へと移った。

「…花は人の心である」

花を生ける時、花を見つめて感じる感情、理想とする美しさを花に捜し求め、それを花に託して表現する。ふうと息を大きく吐いた。そして感じる視線。大丈夫、ここにいる人達は皆私の大事な人だ。大事な友人達。自分がどうなってもなんとかしてあげたい、そう思える友人達。そして大事な人。私の思いは届かなかったけれど、応援する、それも恋だとようやく理解出来た。中学の時に出来なかった恋が今ようやく出来た。私は大きく成長出来ました。ねぇ、お父さん。今の私はどうですか?自信を持って今の自分を表現出来る気がするんです。目の前に置かれた花器は私が最高の物を選んだつもりだ。筒型のそれは自由花へ。何にも囚われていない自由に出来るのは私だけ。光は一度目を閉じた。皆の呼吸の音を聞く。目を開いた光は別人のような顔つきで皆息を飲んだ。

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bkm
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