「あ、シゲルさん!桜子こっちこっち!」
光は大きく手を振った。道明寺の英徳復帰のお祝いとしてテラスでちょっとしたパーティーを開く事になったのだ。つくしに声をかける前につくしがやってきたのだ。
「先輩っ。道明寺さんが英徳復帰なんですよっ!よかったですねっ」
つくしも一緒にお祝いしよう、そうシゲルが言うもつくしは道明寺の姿を見てあたしはいいやと言う。
「はい、これ返す」
つくしが道明寺に渡したのは紙袋。その中からはうさぎのぬいぐるみにボール、ネックレス。それは思い出の品だった。だが、道明寺はそれを見ても思い出す気配はない。
「俺んじゃねーよ。知らね」
「そっか。じゃそのネックレスは彼女にあげなよ。あとはそっちで捨てて」
「彼女?いらねーよ、こんなん」
つくしは彼女と言う。それは海の事だろうか?何か勘違いしているんじゃないか、そう思ったが口を開く前につくしが行動を起こす。
「いらない…?」
「つーかおまえに話が」
ビリっと紙袋を破く音。中身が飛び出して行った。つくしが奪い返したのだ。
「あんたがいらないならこっちで処分する。ひとがどんな思いでここまで来たか。あばよっ!」
ポカーンとする道明寺。周りはまた始まったのかと溜め息。つくしは一つ一つ思い出の物を拾って行く。
「…あたしだって…」
ボールを握ったつくしは何を思ったか、そのまま大きくふりかぶった。
「いらねーよ!こんなもんッ!」
つくしが投げたボールは勢いそのまま道明寺の額に当たり、道明寺は椅子から転げ落ちた。つくしはそのまま出て行ってしまった。
「つくし!」
「おい、司っ!」
「あいつは怪我人になんつーことを…」
道明寺は気を失っていたが、光は少し笑いがこみ上げてきた。それに気付いた西門は光を見上げた。
「何笑ってんだ、お前」
「だって、いつもの雰囲気みたいで、何か懐かしくて」
目を覚ました道明寺がつくしの事を思い出した事に気付くのは後少し。
終
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