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「ちょっとあれ英徳と永林の制服じゃん?」

「超すごー。日本一・二の金持ち学園がガン首そろえてるよ」

制服で来て良かった。この方が目立ってあっちもこちらを見つけやすいだろう。光は小さく溜め息を吐いた。

「あ、どうしたの?こんな所で。びっくり!」

ほらすぐにかかった。海はまるで友達を見つけたかのような笑顔で近寄ってきた。

「ちょっとちょっと海、知り合い?すごーい」

周りの友人達もまるで観客のように集まってきた。

「あのさ、あんた一体どういうつもり?」

桜子は早速話を切り出した。それにシゲルは驚いた。

「ベタベタ道明寺さんに近付いて何考えてんの?」

「何って…別に」

無自覚か、光の溜め息は深い。

「あのさ綺麗ごととかやめなよ。かわいそうだとかマジ笑える」

「え、だってまってよ。いつも家でも病室でもひとり」

「じゃあさ、牧野先輩はかわいそうじゃないの?」

桜子は一方的に言葉を紡いだ。

「彼氏に自分のこと忘れられて妙な女が近付いて来てるんだよ?ふつーに考えたらそっちのが気の毒じゃん?」

「妙な女って海のこと?」

「黙って聞いてればひどくない?」

「英徳の制服着てるからお嬢かと思ったらキレてんじゃん、なにこいつ」

その言葉に光は吹き出した。光に視線が集まる。

「お嬢様がキレちゃいけないのか?」

「はぁ?なんか超ムカつく、なんなんだよッ」

「うっさいんだよ、ブス。黙ってな」

その言葉に光は笑みを浮かべる。言われた本人達は桜子の勢いに押し黙った。

「そういう事。私達は今この子と大事な話してんの」

「いい?無邪気なつもりかもしれないけど、紙一重で無神経なんだよ。よく考えな」

それだけ言うと桜子は歩き出した。その後をシゲルが追い、更にその後を光はゆっくりと歩く。そして聞こえてくる声。

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bkm
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