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道明寺の記憶は相変わらずつくしの事だけを思い出さないままだった。それでもつくしは献身的に道明寺の所へ通っている。光は少し時間が出来たからと一人で道明寺がいる病院へと足を伸ばした。が、病室に道明寺の姿もつくしの姿も無い。光は少し探すとすぐに見つかった。が、二人きりではない。隣には松葉杖をついている女の子が居た。遠くて何を話しているのか分からないが、何やら道明寺と平気に喋っている気がする。つくしの方が遠慮がちに見えた。光はそのままゆっくりと歩き出す。

「道明寺さん、お散歩ですか?」

「…おう、宮永か。今日総二郎はいねーの?」

「いいえ。今日は別行動ですよ。もしかしたら後で来るかも」

そして光はつくしに視線を移した。

「つくし。これお花生けてあげてくれる?」

道明寺さんには内緒で。バレるとうるさそうだから。それを視線だけで伝え、持って来た花束をつくしに渡そうとしたら光はそれを遮られた。

「あ、あたしがやろうか?」

松葉杖をついた女の子が声をかけたのだ。光はそれにそちらに視線を移した。一体何なんだ、この子は。普通友人が来たら気を利かせてその場からいなくなるようなものじゃないのか?なのに声をかけてくるってどういう事だ。

「…すいません。どちら様ですか?面識無いのですが」

「あ、あたしここの病院に入院してるの。中島海って言うの。つくしちゃんの友達?よろしくね!」

「初めまして。つくしと道明寺さんの友人、宮永光と申します」

光は頭を下げてニコリと微笑んでからつくしの腕を掴んで歩き出した。

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bkm
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