「お前何で日展出んのに何も言わねーの!?すっげえ名誉じゃん!」
「あれ?総二郎さん、知ってたの?すごい名誉でプレッシャーだよ」
誰かに言ったっけ?あ、つくしに言ったのかもしれない。その程度。応援されるのは心強いが、自分の力第一だ。
「道明寺さん、花変えますね」
光は花束と花瓶を持ち歩き出した。病室を出てすぐに制服姿のつくしと会う。
「あいつどんな感じ?」
「ん〜…まだ分からないな」
「…そう。花、手伝うよ」
あ、ありがとう。光から花瓶を取ってつくしはとぼとぼと歩き出す。つくしの腕には紙袋。それは重要アイテムが入っているらしい。そして光が花を生けて持ってきた所でつくしは静かに病室に入った。合図を受けつくしは立ち上がり道明寺の顔を一発グーで殴る。そして準備していた紙袋から長いロングのウィッグを取り出し装着。
「宣戦布告よっ!」
それで赤札を貼れば完璧だと思った。が、道明寺は何も言わずに花瓶を掴み、
「でてけ〜〜っ!」
その場にいた皆を追い出した。
「失敗か、いい作戦だと思ったのに」
花瓶が命中した西門は水を被り花が散らばっている。
「失敗かじゃないわよっっ!」
そしてつくしは飲み物を飲んでくるといなくなった。光は西門の姿を見て悲しそうな顔をする。
「な、何だよ…」
「折角生けてきたのに…!花がかわいそうだ…」
「濡れてる俺の心配しろよッ!」
「ん、それはどうでも……あ、でも総二郎さんにも花が似合うよ。女の子じゃないのが残念」
ったく何を言ってるんだか。西門は光が寄越したハンカチで顔を拭いた。その横で光は散らばった花を集めている。
「発見」
そう言いながら背伸びをして自分の髪についた花を取ろうとする光を西門はジッと見ていた。
「じゃあ、悪いけど私はこれで。それじゃあ」
光と目が合う事はない。
終