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道明寺は病院に運ばれてすぐにICUに入った。が、そのまま長い時間連絡はない。道明寺は意識不明の重体のまま。

「シゲル。もう泣くな。おまえのせいじゃねーよ」

「大丈夫だろ、司は。殺しても死にゃしねーよ」

「…つくしは?」

「類が行った」

そう、光は小さく呟いた。つくしはあれからずっと呆然としている。それもそうだ。道明寺が刺されるのを目の前で見てしまった。道明寺の血にも触れた。先程から病院内のテレビではそのニュースばかり。

「…シゲルさん」

シゲルは何も答えない。ずっと肩を震わせ泣いているだけ。光に出来る事とすればその震える肩を抱きしめてあげる事だけ。バタバタと足音が聞こえ視線を移せばそこには椿とタマの姿。

「司は?」

「姉ちゃん。まだICUに入ってる。今晩がヤマらしい。出血が多すぎて」

「……なんでこんなことに…」

「坊ちゃんを刺した犯人。最近道明寺家につぶされた企業の社長だそうです。怨恨だと報道がありました」

「ひでーな、それ」

「息子関係ねーじゃん」

それでも他人から見れば道明寺家に復讐出来れば何でも良いと言う事か。光は眉間に皺を寄せた。どうしてこの二人にはいつも試練が起こるのだろうか。

「つくしちゃんはどうしてるの」

「牧野はずっと待合室から出てこねえよ」

「すげえ女だよ、あいつ。ちっこい身体で司を背負って」

「あいつのためにも司がんばらねーと」

頑張ってもらわないと困る。ここまで人に心配をかけさせておいて、つくしを泣かせておいて、そのままいなくなると言うのなら私は道明寺さんを殴らなくちゃいけない。光はシゲルの手をきつく握った。



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