つくしの家を出た5人は考える。
「私、よくわからない。つくしが言ってたこと。なんで壊れちゃだめなの?恋愛なんてそんなもんじゃん」
「…守るものの違いだよ、それは」
「光?」
シゲルの言葉に一番に反応したのは光だった。光はシゲルを見る事なく呟いた。
「自分か自分の家か、相手か相手の家か。どれを優先すべきなのか。それは解釈の違いだよ。人それぞれ」
「おまえがわからねーのは滋がこっち側の人間だからだよ」
「――なんか二人ともかわいそう」
「好きだからこそ壊すのが怖いんだよ。最上級の思いやりだと思うね。俺は」
思いやりね。私が思っていたのは自分だけだった。やっぱりそれは解釈の違い。どこまで相手の事を信じられるか。深読みできるか。
「……ニッシー。なんか経験者みたいな口ぶり…」
「まさか。日本一のチャランポラン男目指してっから」
「あはは、それ目指してどーすんの!称号でも手に入れるつもりかっ」
光は声を出して笑った。
「お前はホントに空気読め!」
「この重い空気をどうにしかしてやろうと思っただけなんだけどな。と、いう事で私はこれで」
「え、これから一緒に出かけないの?」
「今の状況で行っても雰囲気暗くなっちゃうよ?私バイト先に顔出さなきゃいけないからさ!それじゃあ」
光はそそくさと車を呼んでその場からいなくなって行った。
終
prev next
bkm