「…何で名前呼ばなくなったのか教えてあげるよ。私があなた――…総二郎さんの言葉に傷ついたから。ねぇ、私には何を言っても良いと思ってる?私は強いから大丈夫とか思ってる?本心出せるような気軽な相手だからって何言っても許されると思う?」
「…傷ついた…?」
「…私だって…普通の女だ!そりゃ痛ければ泣くし、悲しくても泣くんだよ!傷つくんだよ!」
「光」
「いい。期待はしてない。優しくして欲しいとかそういうんじゃないから。…でもね、覚えておいて。こうやって女の子泣かせてる事」
光は不器用に微笑む。何でそんな困ってるような笑みを浮かべるんだろうか。
「じゃあ、ついでにもう一つ悩ませてあげる。私は総二郎さんの事が好きだよ。それをどう捉えるかはあなた次第」
「……は?」
「普段使ってない頭使って考えたら?それじゃあ、今度こそ。あ、子供みたいに避けたりはしないでよね?周りが心配しちゃうから」
服を整えて光はひらひらと手を振って部屋から出て行った。一方西門は眉間に皺を寄せた。
「………は?」
あいつが謎。俺と似てるのかと思えば全く違う。後ろ向きかと思えば前向き。強いかと思えば人間関係で大きく悩む程弱い。言葉遣いが悪いと思えば列記としたお嬢様。ガサツかと思えば繊細。どれが本心だか分からない。最初からあいつはそうだった。勝負好きで強い奴と戦うのが好きと女に有るまじき性格。それに興味のわいた自分。
終
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