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「俺ん家来る?」

その言葉に光はしばらく考えた後視線が気になり、まぁ、いいけど…小さく呟いた。そして部屋で二人きりになるが、光には何を喋って良いのか分からない。以前はどんな話をしていたか覚えていなかった。光は意を決して口を開いた。

「…優紀ちゃん、どうなった?」

「…は?」

西門は眉間に皺を寄せた。触れて欲しくない話題なのだろう。それでも光は近付きたかった。

「私に相談しておいて何の報告も無しって言うのはないんじゃないですか?」

「……あー…まぁ、普通に」

普通って何だよ。なんともはっきりしなくて苛立ちがこみ上げる。

「あ、言っておくけど手は出してねぇよ」

そう…。大事なのはそこじゃない。行為に対してどうこう言うつもりはない。問題は中身。感情。優紀ちゃんはこの人を変えた?それだけだ。光はそれ以上何も言えなかった。

「…なぁ、光。もし俺が本気で誰かを好きになったらどうする?」

その言葉に光は驚いた。この人は優紀ちゃんの事が好きになった?じゃなきゃこんなタイミングで言ってきたりはしない。光はそっと目を閉じてゆっくり言葉を紡ぐ。

「…似合わない」

「おいおい…」

恋をすると人は変わると言う。つくしみたいに輝く人もいる。逆に絶対いなくちゃダメな存在でいなくなったら荒んでしまう道明寺もいる。優紀のように強くなる人も。それはきっと良い事に違いない。

「…でも、それは最高に格好良いよ」

だから、あなたも良い方向へ進めますように。光は自分に出来る精一杯の笑顔を浮かべた。もういいじゃない。そういう恋の形があったって。久しぶりに心から笑えた気がした。

「っ…!」

西門は息を飲んだ。最近自分がおかしい。心の一部が溶けて行く、解けて行くようなそんな感じ。光が伸ばすその手が嬉しい、いつも変わらず近くに居る、冗談を言える、気を使う瞬間もない、自然のまま、ありのままの自分で居させてくれる…これは何?…違う、俺は認めない。

「大丈夫、私はあなたの恋を応援するよ?」

「ちが――」

そんな事を言ってもらいたいんじゃない。

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bkm
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