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「俺ら牧野探してくるわ!」

昨日の放送はつくしと道明寺の二人にとってかなりよろしくない状況。すぐに話をしたいにも関わらず道明寺にもつくしにも連絡が取れない。学校へ来て道明寺を抜いたF3と光は集まっていた。そして西門と美作はつくしを探しに行ったのだが、取り残された類と光。光はいそいそとバッグからタッパーを取り出した。

「寒天作ってみました。食べます?」

甘くない?はい、そこまで。なら食べる。どうぞ。

「にしても俺に冷静だ、とか言っておいて宮永も随分冷静だよね。お菓子作り?」

「気を紛らわせると言うか、現実逃避したくて」

取り分けた寒天を類に渡して光は溜め息を吐いた。流石に西門もこの状況で女と遊びで寝不足、という事はないらしい。そもそも光にはその後の優紀との関係も分からずじまいだった。

「お前等何暢気に菓子食ってんだよ!」

つくしを連れてきた西門の第一声はそれだった。寒天を置いてつくしに昨日のテレビの事を話すとつくしは何も知らなかったように驚いた。

「野球、全然わかんなくて…そんなすごいゲームだったのね。放映されてたんだ…」

つくしはそう自分で言ってから事の重大さに気付いた。

「多分もう全部バレてるぜ」

「肝心な時に司はいねーしどこ行ったんだんだ、あいつ」

「何か事情があるとか…」

つくしを放っておいても行かなきゃ事情なんて道明寺になんてないだろう。光は自分で言っておいてそう納得してしまった。

「司、拉致られてんのかもな。ケータイも通じねーし」

「拉致?」

「今朝あいつの家に迎えに行ったら昨夜から帰ってないって言ってたもんな」

「昨夜から!?」

つくしは大きく反応した。

「あいつ昨日なんか変じゃなかった?」

「昨日…?」

つくしが考えている中新しく大きな声が響いた。それは桜子のものだった。

「ここにいたんですか!?た…っ、大変です!い…今廊下で聞いたんです!道明寺さんが…っ、道明寺さんが退学届出されてるって」

桜子は涙を流していた。桜子以外は退学届と言うのを呆然と繰り返した。

「今日づけで学園長に出されたそうです。牧野先輩ッ!」

桜子は涙ながらつくしに肩を掴んだ。涙を流しながら言うのは、桜子にとって道明寺がまだ大事な人だと言う証だった。

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bkm
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