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「…ねぇ花沢さん。女の子が髪を切る時ってどういう時ですか?」

「邪魔になった時」

「そしたら私は毎日髪切ってますよ」

そう言ってからこの話題は失敗したと思った。類の好きな人が静だと言う事を思い出したからだ。静も決意の現れで長い髪をばっさりと切ったのだった。

「長くて邪魔じゃないの?」

「邪魔ですよ」

「切ってあげようか。俺髪切るの上手いよ。自分で切ってるし」

「…へぇ、なら今度頼みますよ」

いつかばっさり髪を切る機会があればね。光は部屋を見渡した。そこは自分の部屋となんら変わり無い類の部屋だった。招待してくれると言っていたがまさかその二日後だったとは。大きな予定も無いから構わないのだけれど、この部屋に来て私は何をしているんだろうか…仕方なく光はベッドに寄りかかり目の前のテレビを見た。

「なんか面白いテレビないかなぁ」

「私普段あまりテレビ見ないんですけど、何か面白いんですか?」

まぁ、なんとなくかけてる。類はテレビのリモコンを手に自分のベッドに寝転んだ。絶対このまま寝るパターンだろ…先が読めて嫌になった。

「あ、野球やってる」

「野球好きなんですか?」

「いや、べつ――…」

「いったい!」

類と光はテレビを見て呆然とし、そのまま下にリモコンを落とし、それが光の頭に直撃したのだった。そのテレビに映るのは記念すべき80号ホームランを手にしたつくしとその隣に道明寺の姿。

「これってアメリカの野球だよね」

「うん。しかもワールドレコード更新ってことは…ニューヨークにももちろん放映されてるよなあ」

「…随分と冷静ですね」

「驚いてる、充分」

何やってんだ!光は心の中で呟いた。つくしと道明寺の関係は他に知られてはいけない関係。それがまさかテレビででかでかと放映されているとなればただで済むはずがない。光と類の溜め息が重なった。



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bkm
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