「光!ちょうど良かった!」
朝、光が登校すると朝一番につくしが駆け寄ってきた。
「西門さん、どこにいるか分からない!?家にもいないみたいで」
「知らないけど、どうかしたの?」
「優紀が…絶対に優紀が何かを決心したと思うんだ…だから応援してあげないと」
そう、もしかしたらあのビルを見つけたのかもしれない。少し前に聞いた西門の大事な約束を見つけてあげたい、それはもう叶う。光は頷いた。
「あたし西門さん探す!道明寺も探すって言うし!だから光も――」
「ごめん、私は行けない」
「…え?」
光の言葉につくしは驚いた。光は友人の為ならすぐにでも動くと思っていたからだ。
「ごめん、どうしても行けない。でも、優紀ちゃんの事は応援してる」
え?事情は分からないけれどつくしは走り出していた。その隣には道明寺の姿があった。光はその背を見送っていた。
「…宮永は行かないんだ」
「…うん」
いつのまにか光の隣に居たのは類だった。類も光と同じ方向を見たまま呟いた。
「…これでいいんです」
「そのワリには良いって顔してないけどね」
「もう、花沢さんって一言多いって言われません?」
「ん〜…覚えてない」
ですよねぇ、光は困ったように少し笑った。
「さて!授業でも受けようかな」
「え、さぼらないの?」
「何さぼるのが当然、みたいな顔してるんですか…?学校に来て授業を受けるのが当然なんですけど?」
その信じられない、って顔の方が信じられない。
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bkm