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「…送ってやるとか言わないか。まぁ、それでも良いけれど」

ったく、何を気にしてんだか。西門は光の頬に手を伸ばして上を向かせた。少し赤い目元を西門は指でなぞった。

「…お前、泣いた?」

「…いや、寝不足なの、最近。ただそれだけ。じゃあ」

なら、良いけれど。そういえば最近光とまともに会話していなかった気がする。西門は背を向けて歩く光の腕を掴んだ。

「何?」

「お前は一期一会って信じる?」

「…信じるよ。生涯に一度だけ出会うこと。一つの出会いを大切にして悔いのないようにお茶を点てる。昔の人はすごい事を言うよね。でも、分かる気がする。何事もタイミングって事かなぁ。それじゃ」

光はもう一度別れの挨拶をして先を歩く。西門は反対方向へ進む。二人はいつも反対の方向へ進んでいた。



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