「えぇ!?つくし、あの家出たの!?え、どこに!?」
「あれ?光に言ってなかったっけ?」
「言ってない!」
光はつくしの首を持ちぐわんぐわんと前後に振った。いつの間にあのマンションを出ていたの!?そんな話は全く聞いていなかったのだ。
「今は弟と風呂無しアパートで二人暮しよ。両親は住み込みで働いてて…家の隣に――…」
「隣?」
「あいつが来て…」
あいつって道明寺さん?光の言葉につくしは小さく頷いた。まさか道明寺さんがそういう事をするとは思っていなかったけれど…それほどつくしの隣に居たいのかも。そう思えば微笑ましい光景だ。
「だめだ、寝らんねえ」
そんな声が上から聞こえてきて光はその声の主を探した。が、姿は見えない。でも道明寺だと言う事は分かった。
「明け方家帰って寝たわ」
「すげーよな。司がアパート借りたなんて、信じらんねえよな、総二郎」
「ああ、そーだな。わり俺も寝不足」
「どうだよ、司。庶民生活きついか」
「天井が低いんだよ。昨夜ずっと天井の模様見てて、なんかカビくせーし」
「だよなーおまえがあいつと同じ生活はムリだろ」
ふと隣のつくしを見て光はぎょっとした。眉間に皺を寄せているつくしが居たからだ。それから道明寺は帰って寝るとその場からいなくなった。
「総二郎、おまえもしかして昨日優紀ちゃんと会ってたのかよ?」
「ああ」
その言葉につくしも光も驚いた。
「おーい、やめとけって。牧野にバレたら大事だぜー。それに光ちゃんも」
「光は何でも大丈夫だよ。それになんもしてねーから平気だよ。朝方4時に帰って来てすんげねみー。俺もうち帰って寝るわ。今日夜女と待ち合わせてんだ」
そしてつくしは西門を追いかけるように走って行った。一方光は美作のもとへと向かう。
「あきらさん、ああいうのも無しです」
「うわっ!?え、何、話聞いてたの!?」
その言葉に残念ながら、と光は頷いた。
「ちなみにつくしも居ましたよ」
「…うわぁ…マジやば」
「とりあえず!私は平静を装う事は出来るんですっ!だから、何も言いっこなしです!そういう約束だったはず!」
「ご、ごめんね?」
そういう美作に光はどーしようかな、と考えた後閃いて口を開いた。
「またあきらさんのお家、見せて下さい」
花に囲まれていると私は癒されるから。
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bkm