133 [ 2 / 3 ]

「…あのさ、光ちゃん。今の状況どこまで知ってんの?」

「あの二人の事ですよね?…まず優紀ちゃんが告白したけれど、軽くあしらわれた。が、優紀ちゃんはそれでも諦めずにデートキスベッドのフルコースをお願いした、って所までです」

俺もそこまで知ってる…ほとんど全部じゃねぇか。美作は呆れるように額に手を当てた。

「…このままだとあの二人どうなるかわかんねーぞ。もしかして司と牧野みたいな状況だって考えられる」

美作の言葉に光は笑みを浮かべた。美作は光の笑みに違和感を覚えた。この子はこんな笑い方をする子じゃない。普通の笑顔を見せていたはずなのに。

「…それでも良いと思います。私ね、お母様に言ったんです。私との婚約を破棄したいと仰ったら、その時は何も聞かずに了承してあげて下さいって」

「…光ちゃんはそれでも良いわけ?」

「…はい。また新しい婚約者が現れるだけです。下手したら弟君の可能性もありますよね」

光は小さく笑う。声だけが笑っていた。

「光ちゃん、ホントありえねーよ。司や牧野みてぇに大きな障害なんかねぇじゃん。むしろ良縁だろ?周りが祝福出来る環境だってのに。好きな奴と結婚出来るかもしんねぇのに、どーしてそう淡白なの?」

「…淡白なのは生まれつきですよ。それにこの宮永家に期待していない」

光の変わらない態度に美作は苛立ちがこみ上げてくる。呆れるを通り越した苛立ちだった。

「光ちゃんは…!…総二郎が好きなんだろ?それで良いの?」

「…別に好きなんか――」

「絶対言わないからさ、俺にだけ本心教えてくれない?総二郎の心配してるんじゃない。俺は友人として光ちゃんが心配なんだよ。前に言ったよね?悩みがある人が近くに居た場合どうするかって。俺は問い詰めるタイプなの。心配だからさ」

そんなだいぶ前の事覚えているとは思ってもいなかった。この人は本当にお節介だな。でも、今はそのお節介が心地良い。

「…絶対内緒にして下さいね」

その言葉に美作は大きく頷いた。

「…私ね、多分…こういう事を比べても仕方ないと思うんですけど…普通の人より悩み事多いと思うんですよ」

「悩む事?」

「はい。私は宮永家の本当の子供じゃないし」

「え…!?」

初めて聞いたんだけど!?美作は驚いたが光は質問は後で受け付けますと呟いた。

prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -