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「…あーい…もしもし…」

《え、まだそんな遅くないのに、どうして寝てんの…?》

光は珍しい電話の相手に驚いた。名前も見ずに着信を取る癖はそろそろ止めておこうと思っても寝起きの頭じゃそれは無理だった。

「…あきらさんですか…すいません。最近眠くて」

《類みてー…じゃなくて!光ちゃん、総二郎の事どうすんの!?》

「どうすんの…?どういう意味ですか…?」

《優紀ちゃん…。総二郎に告ったらしいじゃん…聞いてない?》

何を今更。私はそれを悩みに悩んで一人で寝不足の悪循環だったと言うのに。

「…知ってます。…どちらからも相談に乗ってるんです、私」

《………》

「…もしもーし、あきらさーん?」

電話先の相手がいなくなったと思った。突然の無言で光は何度も美作の名前を呼んだ。

《えぇ!?それで良いの!?ちょ、光ちゃんって総二郎の事どう思ってんの!?》

「…どう思ってる…ん〜…それは難しい質問ですね」

《…あぁ、もう!直接会わねーと話になんない!今からそっち行っても良いだろ!?》

「はぁ?」

今から行くから!それだけ言うと美作からの電話は乱暴に切られた。一体何だって言うんだ…。光が再びベッドの中でうとうととしていると使用人が光を起こしに来た。

「お嬢様、表に美作様という方がいらっしゃいましたが…どうなさいますか?」

本当に来た…。まぁ、今日はおばあ様がいないから大丈夫だろう。光は瞼をこすりながら声を出す。

「…お友達なんです。通して下さい」

「光ちゃん!」

美作は息を切らして光の部屋に入ってきた。その後ろでは驚いている使用人。

「冷たい飲み物を二人分。後はー…軽いお茶請けをお願い致します…あ、あきらさん。寝巻きですいません」

畳みに直に座らせるのもあれだと光は美作にクッションを出した。美作はテーブルのお茶を一気飲みしてそれを乱暴に置いた。

「…あきらさん、どうかしました?」

「どうもこうもねぇよ!」

何をそんなに怒っているんだろう。そこまであからさまに怒られているとこっちは何故か冷静になってしまう。それは私の悪い癖だった。周りの空気に着いていけない時がある。

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bkm
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