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「…あたし、簡単には諦めないんだ。応援しててね、光ちゃん」

「うん…ふあぁ…あ、ごめん」

涙をあくびで隠して光は頷いた。

「これからたまに相談に乗ってもらっていいかな…?つくしは西門さんとの事反対みたいで…」

優紀ちゃんも随分と酷な事をするもんだ。光は作った笑顔で頷いてから優紀の背を押した。そして気絶したつくしが目を覚ますのを待っていた。

「あ、起きた?どう気分大丈夫?」

「はい、つくし。水どうぞ」

「あ…?」

「つくし貧血で倒れたんだよ。たぶん帯のしめつけのせいだと思うけど、あと緊張だね。よく頑張って言ったね。えらいよ、なんか感動しちゃった」

「同じく、私も」

シゲルよりも先に光は立ち上がって部屋を出て、皆がいる部屋へと向かった。途中道明寺とすれ違って軽く手を挙げた。シゲルが戻ってきてつくしと司の様子を見ようと再び部屋の前まで戻ればいつもの言い争いの声が聞こえてくる。

「なんか変わんねーな、あいつら…」

「ねーあっちでお茶しよ。ケーキとかある?」

「あるぜ。おふくろが作ったベタ甘のヤツ」

桜子がつくしと道明寺を呼びに行って、三人で戻ってきてすぐに二人はこの事は誰にも言わないようにしてもらえないかと言う。それには当然と皆頷いた。

「バレたらこの幸せを奪うことになるもんな」

「そそ、そして俺達は猛獣のお守りの日々」

「しっかし牧野と司がねえ。ほんと一発やられたぜ。まさかこんなんなってようとは」

「どんな心境?」

「どんなって鼻からスイカ出したよーな感じ」

それは出産の時の話だよ…。光は呆れながら呟いた。

「優紀…帰っちゃったんだ」

「明け方帰ったよな?バイトあるって言って」

「んー?そうだっけ?」

そういう西門をつくしはジッと見ていた。つくしも知っているのかもしれない。そしてつくしは先に帰ると走り出した。それを追う道明寺。

「仕方ないんで残ったメンバーでどっか行きませんー?」

「だな」

「遊園地!ね、光!ジェットコースター乗りたくない!?」

「あ、乗りた――」

「「却下で」」

西門と美作の言葉が綺麗に重なった。

「何よ、二人共ー!」

言いかけていた光も唇を尖らせた。二人共ノリが悪過ぎ!状況が理解出来ない桜子は一体何があったんですか?と首を傾げた。

「えぇーただジェットコースター7回乗っただけじゃんねー光」

「ねーシゲルさん」

「…うわ、二人共、ホントにありえない。この二人の体力信じらんない」

そんな冷たい視線を送らないで!そんな事ないのにねぇ、光とシゲルは微笑み合う。



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bkm
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