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「寒中浴衣パーティー…?」

光はそれを聞いて眉間に皺を寄せた。今日はいつものメンバー集めて美作の家で楽しくパーティーしましょうと光に声がかかったまでは良いけれど、その場に行けばシゲルがご丁寧にも浴衣を用意していたのだ。

「ここには浴衣の着付けのプロが二人も居るからラッキーだね!」

何がラッキー…?そして私はこき使われるのか。こちらはまだ本調子ではないと言うのに。正直この場に花沢さんがいなくて良かったと光は小さく溜め息を吐いた。泣きまくってしまったから恥ずかしいのだ。

「とりあえずお前はシゲルと桜子の頼むわ」

「…総二郎さん、珍しく乗る気?」

「まぁ、こういうのも悪くねぇだろ?」

そういう西門の顔を光はジッと見た。それに対して西門は眉間に皺を寄せる。

「…なーんか変。なんて言うか顔に違和感?」

「俺の顔は歪んだ事ねぇよ!さっさと着付けしてこい!」

何も頭を叩かなくても!光はシゲルと桜子を連れて別室へと移動した。

「それじゃあ羽織ってね」

「浴衣なんて風流ですよねー!」

いや、今冬だから。寒いから。シゲルの用意した浴衣はどれも上物だという事が見て分かった。お願いだからこの着物を誰も汚してくれないでくれ。

「はい、シゲルさん。終わり。次桜子ね」

「おー!流石光!早いね!あっちの様子も見てこよー!」

そう言うとシゲルはそそくさと西門、美作、道明寺が居る別室へと駆けて行った。

「シゲルさんは相変わらずですね〜。そういえば牧野先輩と優紀さん遅いなぁ」

「…え、今日優紀ちゃんも、来るの?」

「はい。誘いましたよ」

そっか…。光は小さく呟いた。邪心を振り払うように光は桜子の着付けを終えた。そして自分の浴衣を着る。意識はもう別の所へ行っていた。

「あ、宮永先輩!優紀さんも来たから着付けてあげて下さいよ!」

「…あ、優紀ちゃん。久しぶり」

そこまで久しぶりでもないけれど。光は繕った笑顔を浮かべた。

「ごめん、着付けてあげたいのは山々なんだけど、さっき転んで手首少し痛いから、総二郎さんに頼んで」

光はヒラヒラと手首を振った。

「はぁ?大丈夫なのかよ!?」

「大丈夫大丈夫。それに浴衣着ながら作業する男の人って格好良いよね!って事でよろしくお願いします」

西門の背をポンッと叩いた。ったく…そう言いながら西門は先に別室へ行く。優紀はシゲルと浴衣を選んでいた。それに近付いて光は言う。

「その鹿の子絞りの紫の浴衣とベージュの帯。それは品があって良いよ。優紀ちゃんに似合うと思う」

「さっすが光!着物の事は何でもござれだね!」

そうでも無いけれどね。私の勝負する時の組み合わせの色。初めて西門に会った時もこの色だった。光は微笑を浮かべながらその浴衣に手を伸ばした。

「光ちゃん…あたし、今日機会があったら言うよ…」

その言葉に光は笑みを浮かべて優紀の背を押した。応援する、その言葉さえも言えない私。

「あ、つくしだ。こんばんはー。今総二郎さんが優紀ちゃんの着付けやってるからつくしも行ってきなよ」

あえて邪魔をする私。



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bkm
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