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残されたのは光と類。二人でぼんやりとお茶を飲むだけ。特別話さなければいけない事も、場を和ませるような世間話もできない。

「…行っちゃいましたね」

「だね」

二人きりというのは困ると言うか何を話して良いのか分からない。光は気まずくで何度もお茶を飲んだ。

「あ、宮永さ、お茶点てられる?」

「え?あ、はい。一応」

「なら今度お茶点ててよ。俺ブームきそう」

「はぁ、それは構いませんが…」

何で急にお茶?それにしても西門に頼んだ方が良さそうな気もするけれど。光は疑問に思いながらも頷いた。

「じゃ、連絡するから番号教えて」

「あ、はい」

すごい。私の携帯にF4の内3人の電話番号が入る事になるなんて。買った時は思いもしなかった。絶対に落としちゃいけない携帯電話だ。光が携帯を探すも目的のそれは出て来ない。

「…携帯忘れたみたいです。花沢さんの携帯貸してもらえますか?入れます」

類から携帯を貰って、自分の番号を入れていく。最近になってようやく覚えた自分の番号だった。

「鳴らしておいても良いですか?家にはあるので」

「どうぞ」

自分の携帯に電話をかけてこれで終わり。光は類に携帯を返した。

「花沢さん、お茶がお好きなんですか?」

「いや、そこまで」

「…じゃあ、何故?」

「なんとなく」

うん、この人との会話にはスキルが必要なんだと思った。一筋縄じゃいかない感じがする。独特のテンポを持っている為、こっちは必死になってようやく少し会話になるくらい。笑いのツボもよく分からない。光は類の顔をジッと見た。

「宮永って冷え性?」

「え?あ、はい。末端冷え性です」

「大変そう。寝る時とか」

「寝つきは悪いですね。一時間くらい布団の中で目閉じてないと」

「え…ありえない。俺なんか布団に入って5分で寝れるよ」

それこそありえませんよ。会話が成立して何故か達成感。それから美作と西門が戻ってくるその時間まで光は類との会話を楽しんだ。



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bkm
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