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「あ!つくしだ!」

「光!おはよう」

「昨日道明寺さんがすごく探してたんだよ?警視庁警視総監にまで電話したって聞いて…ちゃんと出会えた?」

あぁ、うん…つくしは口角を片方上げて呟いた。そのせいで初めて拘置所に入った事は流石に驚かせそうだから言わないでおこう。つくしは心の中でそう思ってた。

「道明寺さんね、わざわざ私にまで電話くれたんだよ。で、道明寺さん何だって?」

「あ、いや…大した事じゃないんだけど…ちょっと相談に乗ってもらっていい?」

その言葉に光は顔をパァっと明るくさせた。

「…あたしって鈍感かな?」

何を今更、そう言うように光は頷いた。

「…気持ちはさ、ちゃんと言葉にして言わなきゃ伝わらないよね…?」

そのつくしの言葉はただ肯定して欲しいだけ。でも、それはまるで自分に言うように感じた光。

「つくしは道明寺さんに自分の気持ちを言おうと思ってるんだね?」

「な、何で分かるの!?」

「いや、そこまで言われたら流石に気付くでしょうが」

そ、そっか…何かバレてしまって恥ずかしい。つくしは顔を背けた。

「…つくしが羨ましいなぁ。言える機会があるって事は実はすごい事なんだよ?」

私には無い事だから。

「で、でも恥ずかしくて」

「恥ずかしいのは我慢しなきゃ。むしろ私は道明寺さんの応援したくなるよ?ようやくかって感じで」

「ちょっと光!笑わないでよ!」

つくしは光の肩を軽く叩いた。恋愛経験がある光は先輩に思えるから、どことなくバカにされているような気がしないでもない。

「バカにしてるわけじゃないよ?そりゃ道明寺さんは急かすかもしれないけど、つくしはつくしのテンポで話せば良いんだよ。ちゃんと素直になるんだよ?すぐ暴言吐かないように!後誤魔化しの早口も無し!」

う、図星を突かれてつくしは息を飲んだ。

「つくしは可愛いなぁ。皆つくしにひかれる理由が分かるよ」

「はぁ?モテた事ないよ」

「一目惚れとか外見の話じゃなくてさ、中身の話。つくしと話したら皆つくしの魅力に気付くんだよ。中身を争う選手権があったらつくしは堂々の一位」

「何ソレ!どうせだったら外見も一位で生まれて来たかったよ!」

「いやいや、外見なんてどうにでもなるでしょーが。変えるのが難しいのは中身。人の本性。染み付いた性格は簡単に直せるようなもんじゃない」

何か難しい事を話し始めた光につくしは首を傾げた。

「私は皆の恋が上手く行って欲しい!つくしもシゲルさんも桜子も優紀ちゃんも」

「あたしだって光の恋を応援してるよ!」

「いや、恋しないから、私」

「…そうかな?最近の光の目、優しくなったよ」

「私が誰に恋してるって?」

「え?に、西門さん?」

「笑わせないでー!無いわ!あはははっ!」

光は大きな声で笑う。涙を零しながら笑う。そんなに笑う事?

「あー…笑いすぎてお腹痛い」

光はそう言いながら腕をまぶたの上に乗せた。



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