「ったく、あいつらにはホント振り回されてんぜ」
ポンポンと西門は光の頭を撫でた。光はそれを見上げている。先程と変わらない驚いた眼のまま。何だ?そう思ってすぐに光は立ち上がった。西門の手を振り払うように。
「花沢さん、お久しぶりです。本当に覚えていないくらいお久しぶり」
「ん?だっけ?ちょっと前に会わなかったっけ?」
「…え…あ、道明寺さんのそっくりさんに会った時に、見た程度ですよ。会話はしてません」
よく覚えてるね、類の言葉に光は小さく笑った。
「折角友達になったんですから、もっと絡んで下さいよ」
「…あのさ、俺典型的なひとりっこなんだよね」
「はい?」
「宮永って兄弟いる?」
「はぁ。下に弟が」
「だからか」
何が!?会話の意図も分からないし、何が分かったのかも分からないんだけれど。光は首を傾げた。
「何か類と光の会話意味わかんね」
「奇遇だね。私も分からない。それよりももうちょっと花沢さんと喋れるようになるコツって無いの?」
「しらね」
「あぁっ!もう!総二郎さんはそうやって誤魔化し過ぎなんだっての!」
適当過ぎだよ、ちくしょう。もう帰る。光は長い髪とスカートを翻して歩いて行ったと思えばピタリと止めて振り返った。
「失礼します、皆さん」
律儀に頭を下げるものだから残された三人は声を出して笑った。
終