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《あ、光?》

「授業中にずっと電話かけてくるな!具合悪いフリして――」

《宮永か?》

「え?道明寺さん?」

授業中にずっとポケットの中でバイブが鳴っていた。周りも電話鳴ってるよ、というような目で見てくる。光は溜め息を吐いて保健室に行くフリをして廊下に出て文句を一つ言えばその相手は突然変わった。私を宮永と言うのは道明寺さんは花沢さん、声の感じですぐに道明寺だと思った。

《牧野見てねぇか?》

「いえ、今日は見ていないです」

《どこ行ったか知らねぇか?》

確か亜門とか言ったけど…まさか言えるはずもなく、

「優紀ちゃんの家、とか?」

《そっか。悪ぃな》

それだけ言うと電話の相手が変わった。相手の電話の主だった。

《…やべぇぞ》

「何がやばいの!?と、言うか今学校!?そっちに行くから場所教えて!」

光は居る場所を聞いてから走り出した。そしてすぐに見かけるのは三人。

「つくしどうしたの!?またいなくなった――」

「ちげぇからまず落ち着け」

これが落ち着いていられるか、そう思いながらも光は大きく深呼吸をした。

「…で、つくしは?」

「司に一体何があったかは分からねぇけど、今本気で牧野探してる。警視庁警視総監に電話かけてまで探してる…」

「はぁ!?」

その規模の大きさに光は目を大きく見開いた。

「俺らも状況理解出来てねぇけど…司、ようやく決めたんじゃね?牧野掻っ攫うって」

なんだよ、もう……光はその場に座り込んだ。こっちがどれだけ驚いたと思ってるんだ。つくしの意思ではないかもしれないけれど、それが嬉しく思う光。もう、道明寺さん持って行っちゃってよ、素直じゃない女の子を。

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