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「まったく、失礼しちゃうわよねえ」

「ほんとよね。私達が従兄弟の情報あげたのに捜索に入れてくれないなんて」

「その清永って人の家に見ず知らずの私達が押しかけるのは間違いって事で道明寺さん達に任せようよ。椿さんも一緒に行くなら大丈夫だよ」

取り残された女子三人は後日独自で捜査すると集まったは良いが、目的地も無くただ歩いているだけだった。

「いーもんね!私達は独自の調査を行いましょう!」

「……え?独自の調査って興信所つかうんじゃ」

「なに言ってんのよ桜子ッ!そんなんじゃあっとゆー間にわかってつまんないじゃないよッ!」

あ、この人純粋に探偵がやりたかっただけだ…。光は小さく笑った。

「最近ヒマだったから燃えるわっ!」

そういうとシゲルは鼻眼鏡とはげヅラを取り出した。まさかそれを装着して街を歩けと?いつもはシゲルと楽しくやっている光でさえ躊躇した。

「…知らない人のふり、しましょ」

シゲルは一人テンション上がって先を歩く。が、見つかって桜子はシゲルに捕まった。この人いやー!と桜子は大声を出した。

「ぶつぶつ言ってないで調査しようよ!」

「調査って具体的には何をするんですか!」

「なら、その清永の友達とかに当たってみたら?性格とかどんな暮らししてるとか、家とかも知ってるでしょ、普通に」

それいいね!なら、大学に――…振り返ったシゲルは大声をだした。

「ああ!有力情報がいたっ!」

「ねえ覚えてる!?私達のことっ!」

偶然にもその時の合コンにいた内の二人に遭遇したのだ。

「あ、ああ女子高生の――うわ、すげ奇遇っ!制服じゃないからわかんなかったよ!」

「あんとき怒って帰っちゃったじゃん。もっかい会いてーなって言ってたんだよ。お友達?うわ、友達もレベル高ー!」

光に移った視線にとりあえず頭を下げるも、光は足を一歩引いた。

「ねえ4人の中で清永って人いたでしょ?あの人今どこにいるか知らない!?」

「きよなが?」

「ほら、遅れて来た人ッ!つくしに水ぶっかけた」

「ああ、あいつ。や、ちょっとわかんない」

男は首を横に振った。分からないってどういう事だ。光は首を傾げる。

「わかんないって同じ大学でしょ?確かK大…」

そして男達は顔を見合わせてからとんでもない事を口にする。

「――実はさあの合コンやらせだったんだよ」

「…やらせ?」

「一人2万出すから一緒に合コン出てくれって。朝大学の校門で声かけられて」

「と…友達じゃないの?」

「…いや、俺達もあの日初めて会ったんだ」

有力な情報を得られるかと思えば逆にとんでもない事を聞かされた。それからあった事を全て教えてもらった。また作戦会議が必要だ、とシゲルは先にカフェへと向かった。その後を桜子が追いかける。残った光はとりあえず頭を下げた。

「あ、あのさ、これから俺らと――」

「もうちょっとナンパの技術磨いてから来て下さい、それじゃあ」

私の周りにはナンパが上手い人がいるんでそれじゃあ下手過ぎ。そして光は二人の後を追いかけ呟く、つくしはまた何かに巻き込まれてる?



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