「なんなのよえらそーに!そんなことでがっかりされるんならもうけっこうっ!」
「ま、牧野落ち着けって。そうじゃなくて司のいいたいのは――」
「俺は合コンやる女はキライなんだよっ」
美作が代弁してやろうとすれば道明寺はようやく口を開いた。が、その言葉は違うだろう。
「あっそう、こりゃまたキライでけっこうっ!その嫌いな女の家にそれを言いにきたわけっヒマ人!」
あぁ、またほら。言い争いが始まってしまった。この二人は顔を合わせるとそうだ。と光達は隣のスペースにつくしの母が入れたお茶を飲む為に移動した。皆が移動しても二人の言い争いは終わらず部屋に声が響き渡る。
「あんたの従兄弟のことだって嘘だと思うならもういいっ!あたしが言う事は全てウソ!どう!これで満足!?」
「ごめんなっ」
道明寺が謝る声を初めて聞いた。それで終わるかと思った。そしたら今度は謝り合戦だった。
「だいたいおまえは強引に連れてかれたとはいえ合コンとかすんなっ」
「人の勝手でしょ。なんであんたに指図されなきゃいけないのよっ!」
それを聞いて一同は溜め息を吐く。この二人はどうしていつもこうなってしまうのか。
「…なんかもうかってにやってってかんじですね」
「こっちがアホらしくなるわな」
「ケンカする程仲が良いって事にしてれば良いのかも…」
シゲルが声をかけそのケンカはようやくおさまった。そしてお茶を飲みながらつくしはさっきまで道明寺の従兄弟が家に来ていた事を話す。
「ここに!?司のイトコ来てたの!?」
「さっきまでいたって――私達ここに入った時はいなかったですよね!?」
当然誰もその従兄弟を見てはいない。それが…と言葉を濁したつくしは窓から飛び降りて帰ったと言うのだ。
「窓からってなんで!?」
「…会いたくないからって」
「ちょっと待て、俺にか!?」
どう考えても道明寺に会いたくない、余程会いたくない理由があるからとしか思えない。
「おまえまた何か恨まれることしたんじゃねーの?」
「してねーよ、またってなんだよ!なんで覚えてねえ親戚に恨みかわれなきゃいけねえんだよ」
道明寺本人が何もしていなくても、道明寺家に恨みを持っているかもしれない。そう考える光を他所にシゲルと桜子はその従兄弟がいかにむかつくかを話す。