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「さびしんぼーい〜?怪我は治った〜?」

西門の部屋の前で光は声をあげた。それでも周りには聞こえない様な控え目に。西門に会うのはキスされて照れてしまった以来だった。それに対して光は平常心、平常心。心の中で何度も呟いて話す練習までもしたくらいだ。

「何だってんだ!さびしんぼーいって!バカか!」

「ごめんごめん、私バカだから」

総二郎さんよりはマシだけれど。部屋から顔を出した西門を見てホッと一息。大丈夫そうだ。ただそれだけ。

「怪我治って来たね。もう小さい絆創膏になってるや」

「ホント傷が残んなくて良かったぜ。俺の顔に傷がついたら泣く女子がどれだけいるんだが」

それは知らないわ。そんな小さな傷一つあんまり気にする人はいないと思うから安心したら?光は笑いながら言う。

「えっとどこから話そうかな。とりあえず道明寺さんはそんなに荒んだ様子は無いよ。今日も花沢さんとあきらさんと一緒に居た」

「あいつの話はすんなっての!」

不機嫌ボーイめ…。一体いつまで引き摺ってるんだ?どれだけ女々しいんだ?それでもそれを口にしないのは厄介になってしまう事が先に見えているから。

「つくしは元気だった。つくしと道明寺さんはまだぎこちない雰囲気で喋ってる様子は無いけど…何かきっかけがあれば大丈夫そう」

名前出すだけで機嫌悪くなりやがって!眉間の皺をなんとかしろ!あぁ、だめ。言っちゃだめ。光は言葉を飲み込む。

「つくしが帰って来て皆でお泊り会するって言ったでしょう?それがね、すごく楽しかったの。優紀ちゃんなんか最初すごい気を遣ってたのに最後の方には敬語なんて無くなっててさ、シゲルさんが笑いの中心。あの人突拍子も無い事何回も言うんだよ」

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bkm
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