「いーじゃん。どーせ使ってない部屋なんだし、税金対策ってやつで親が私名義で買ってくれたもんだから、私大家さん」
「ちょ、ちょっとまってよ!だめだよ、そんなの。あたし達なら大丈夫!ちゃんと行くとこあるんだからっ。ねっママ。親戚のおばさんがねっ」
「その親戚の家だってそのうち出なきゃいけないんでしょ?ならここでも一緒じゃん」
「そういうわけにはいかないっ!絶対だめっ!」
ね、ほら言ったでしょ。小声で桜子に言うと本当にその通りだわ、桜子は頷いた。
「ほら、シゲルさん。これ忘れてる」
シゲルが作った契約書をつくしの手に乗せてあげた。そしてつくしはその契約書を見て更に大声を出す。
「どこの世界に億ションを一万円で賃貸してくれるんですか!」
「つくし。条件それだけじゃないから。なんて書いてある?」
「は?…たまにシゲルに珍しい料理をご馳走する事…って?」
「シゲルさんにはそれくらいの価値があるって事」
「いーじゃない先輩。こういう時は素直に厚意に甘えれば」
うんうん、と光もシゲルも頷いた。
「…シゲルさん。あたし…何て言ったらいいのか」
やっと受け入れてくれたか、光は笑顔で頷いた。
「やあだ、もう水くさーい!」
そこには申し訳なさそうなつくしと笑顔を浮かべるシゲル。ホント頑固なんだからと笑う光と桜子。この状況に少し戸惑っている優紀の女の子達の姿。
終
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