「ねえ!とにかく中入ろーよ!」
「なか?」
「そう!ジャーン、シゲルちゃんちのマンションでーす!」
そこから歩いてすぐの所。つくしはそれを見上げて声をあげた。
「これシゲルさんのうち?」
「ちがうちがう。うちの経営してるマンション!不動産もやってんだな、これが」
「でもあたし達親戚の家に行かないと。あれ?うちの両親どこに?」
「ご両親はもう上がってもらってるから」
シゲルはつくしの手を引いて歩き出す。
「ねえ男性陣もおいでよっ司っ」
「行かね。帰ってねる」
「せっかくだけど、これから俺も約束あんだわ、またな」
男性陣は皆帰って行った。残されるのは女子達。つくしは大きなお礼を言うも道明寺が振り返る事はなかった。
「つくし!部屋案内する!」
部屋に入ったつくしはその大きさを見渡した。
「へぇーいい部屋じゃない」
「ほんとすごいわよね。家具も一流品よ」
「お気に召しました?つくしこれ」
シゲルの手にはその部屋の鍵。つくしはそれを呆然として見ていた。
「ここの鍵。好きに使っていいよ」
「好きに?使う?」
「うん。類の運転手さんが荷物ももう運んでくれたからさ」
「ええっ!何言ってんの、シゲルさんっ、冗談でしょ!?」
あぁ、久しぶりにつくしの大声を聞いた。と光は和む。
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bkm