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シゲル手書きの契約書が完成して声を出して笑った。これは傑作だよ!これなら大丈夫だよ。そんな声だった。

「これで道明寺さんも元に戻りますよね…?」

「とりあえずは、だな。後は二人の問題だろ」

外野がとやかく言っても仕方ない。しかも二人はとことん頑固で鈍感。雰囲気に流される事も無いだろう。

「話変わるんですけど、私宮永先輩が西門さんと婚約していたって事に驚いてます!」

「え、そうなの?私も知らなかったよ!」

まぁ、わざわざ言う事でもないし。第一高校生だし、私達。光は目を逸らしてコーヒーを飲んだ。

「で、どうなんですか、婚約生活は!」

「婚約生活って何…?」

光は笑いながら呟いた。新婚生活ならまだしも、一緒に住んでいるわけがない。一方桜子は気になって仕方ないと身を乗り出す。

「F4の一人と婚約…宮永先輩羨まし過ぎる!でも、西門さんって女遊び激しいじゃないですか?いいんですか、それ」

「うん。だって結局こういう家にいる限り、いつか誰かが決めた人と婚約するんだなって皆思って来たでしょう?私はそれで構わないし、総二郎さんの事特別嫌いじゃないからなんとも」

光の言葉に皆一瞬息を飲んだ。婚約者が出来るのは遅かれ早かれ決定事項。

「…何か宮永先輩って良い子ぶってます?」

桜子の少し冷めた声に美作はぎょっとする。こいつ牧野だけじゃなくて光ちゃんにまでケンカ売る気か?そんな焦った美作を他所に光は笑みを浮かべる。まるでその挑戦状を受けて楽しむようなそんな笑顔。ピリピリとした空気にシゲルまでも口を閉ざした。

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bkm
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