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それからというもの、道明寺の荒れ具合は凄まじいものだった。もはや幼馴染の彼らも近づけない。そして光達は全力でつくしの行方を捜すも見つからない。仲の良い優紀や和也、桜子にも誰にも連絡の一つも無くつくしは消えたまま。

「…光。お前最近まともに寝てねーだろ」

「…大丈夫だよ。こうやって総二郎さんの家で息抜きしてるじゃん」

そう笑う光の笑顔は不器用なものだった。こいつはこんなに笑うのが下手だったか?

「…俺らも探してんだ。お前は少し休め、な?」

そう言っても光は休むどころか膝を抱えたまま眉間に皺を寄せた。その横顔は不健康、そのもの。目の下の隈は化粧で隠せない程、血色も悪い。少し痩せたようにも見える。

「…総二郎さん言ってたじゃない。道明寺さんにはつくしがいなきゃだめだって。だからこそ探してあげなきゃいけない、道明寺さんの為にも、つくしの為にもさ」

光の言葉に西門は溜め息を吐いた。これは強行突破しかねぇな。膝を抱えた光をそのまま抱き上げてベッドの上へ降ろした。

「こんな時にそんな気分じゃ――」

光は抗議しようとしたが、西門は聞かずにベッドの上で光を抱きしめた。

「…お前は頑張ってる。俺らも頑張っから、少し寝てくれ。光の方が倒れそうでこえーよ」

「……だってね、…私は道明寺さんのお母様が次、何かするかって気付いてたんだよ…?それをもっと重んじて、ちゃんと優紀ちゃんのお父さんの事なんとかしてあげられたら…こんな事にはならな――」

「あぁ、お前もうしゃべんな」

西門は更に抱きしめる腕に力を込めた。

「…違うだろ。お前が心配してたのを俺が気にしすぎだって言ったんだよ。牧野の事だ。その辺でくたばるよーなタイプじゃねぇし、案外ひょっこり戻ってくっかもしれねぇだろ。司は…まぁ、殴ってでも止めてやっから」

道明寺さんの事は信じられないよ、あの怖さを思い出したら。光は西門の腕の中で小さく笑った。

「……ねぇ、総二郎さんは居なくなる?」

ぷはっと顔を出した光は目に涙を浮かべたまま総二郎の目をしっかり見て問いかける。

「はぁ?バカじゃねぇの?何で俺がいなくなんなきゃいけねーんだよ。第一俺が居なくなったら悲しむ女の子が多すぎて大変だろ」

「確かにそうだねっ…」

光は笑う。声にならないようなそんな音で光は笑う。そして考える。つくしの考えてる事が私には分からないのは、私がいつの間にかこちら側に染まってしまったから。だからいつもつくしから言ってくれるのを待っていた。これも何かの事情があるに違いない。つくしなりに考えた結果。私はそう思う事にした。

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bkm
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