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「ねえ和也くん、桜子。今日の帰り遊びに行かない!?」

そんな楽しそうな声が聞こえ、光は声をかけた。夕べの話を聞こうと近付いたのだ。

「皆で遊びに行く話?私も混ぜてよ、つくし」

あ、光ちゃん、おはよーと言う暢気な和也の言葉に光もおはようと返した。そこには桜子の姿もあった。

「宮永先輩と私が居れば絶対にイケメンからナンパされますよー!」

桜子にブスと言われた事は忘れていないのだけれど…そう思っても桜子のたくましさから何も言わずに光はあははと小さく笑った。

「それでどこ行く?」

「どこでも!」

「じゃあさ、ぼくんちに来て――」

和也がそう言いかけると後ろからその腕を道明寺が掴んだ。

「今度な和也。俺、こいつに用あんだわ。…てめ、ゆうべどこ行ってた」

私もそれを訊こうと思ったのだけれど、道明寺さんが聞くのなら良いかと光は黙った。

「どこって家…」

「嘘つけっ!なんも言わねーでホテルから消えやがってっ!心配すんだろがっっ」

ホテルと言う単語に辺りがざわざわとし始めた。そしてつくしは道明寺を連れてどこかへ行ってしまった。まぁ、それでも良いか。道明寺さんと一緒ならつくしは大丈夫だろう、光は暢気に授業を受けていた。その時、そしてその日の夜、様々な出来事が起こっているなんて露ほども知らない。

「あ、総二郎さん。さっきつくしと道明寺さん一緒に出て行ったみたいですよ」

「二人で?まぁ、牧野も普通に学校へ来てるって事はあのかーちゃんの攻撃は無いって事だな」

「まだつくしの存在に気付いていないのかもしれないです」

道明寺さんの家に居る事。それがバレてしまったら大変な事になるだろうけれど、うまくかわしているのかも。また道明寺さんのおかあ様が出張で国外へ飛ぶまでの間をなんとか誤魔化せば…いや、あの人の事だからつくしの今の状況を徹底的に調べつくしているかもしれないし。

「……優紀ちゃん、大丈夫ですかね」

「…は?」

「前にも言ったけどつくしにいくら攻撃しても効かないなら、つくしの周りを攻めた方がつくしにはよっぽど効果的でしょう?」

「バーカ。考え過ぎ。まだそこまでの段階じゃねぇだろ。それに何かあったらあいつも流石に俺らに言ってくるだろ」

…だよね。ちゃんと教えてくれるよね。

「俺午後から司に呼び出されてんだよ。しかも何か声が嬉々としてっから、案外かーちゃんやりすごしてんのかもな」

「そっか。じゃあ、何かあったら私にも教えてね」

光の知らない所で運命は回っている。

「…あ、雨…」

これじゃあ屋根に上がって煙草吸えないや、私が考えていた事と言えばこんな事。



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bkm
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