そして次の日。光は中塚の事を調べあげよく通っているクラブへと足を運んだ。こういう格好は初めてだ。ミニスカートなんて。こんな編タイツなんて履いた事もない。ヒールブーツも初めて。髪も巻くためにわざわざ美容室まで行ったんだ。濃い化粧までして。そして光がクラブに入るとざわっと声があがる。
「誰、あの子。ちょー可愛いー」
「新顔だなー初めて見たわ」
辺りをキョロキョロと見回し、光はお目当ての人物を探す。そして目が合ってニッコリと微笑んだ。
「…わ、すごい格好良い人がいるからビックリしちゃった。ねぇ、私クラブって初めてなの。色々教えてくれないかな?」
「はぁ?あんた何――」
「美佳、お前は黙れっての。さっさと帰れ!」
隣に自分の女が居てもこれか。余程最低な男だと見た。優紀ちゃんも嫌な男に捕まったもんだよ、本当に。
「ねぇ、あなた名前は?私ね、美佳」
まず何から聞き出そうか。
「中塚――。美佳ちゃん、ちょー可愛いんだけど。俺ら付き合おうよ、一目惚れした」
光はそれに笑みを浮かべて腕を絡めた。どうやったら道明寺さんの話を聞けるか。それは難しいのかもしれない。長丁場になっても少し時間をかける必要があると思った。
「ねぇ、その頬の傷どうしたの?ケンカ?」
「ちげぇ。何か道明寺とか言う奴に殴られてよぉ」
「殴られるのに理由があるじゃない。女取り合ったとか?あなた彼女とか居そうだし、さっきの彼女はまた別?」
「あ、あいつは――…何だ?」
折角話を聞いていると言うのに、クラブ内はざわついた。一体なんだよ、視線の先には見知った顔。西門と優紀の姿があった。こっちが情報収集しているって言うのに。総二郎さんが何の為に動いたのか、優紀ちゃんの為だろうな。光はふぅと溜め息を吐いた。
「F4の一人よ。知らない?」
その西門はゆっくりとこちらに近付いてくる。それは私が目的じゃない。中塚のため。
「こんばんは」
「…こんばんは、西門さん」
にっと微笑むと西門は驚いたように目を見開いた後小さく頷いた。
「彼女すげえ綺麗だから目に入っちゃった」
「ふふ、光栄です」
笑いたくなるような台詞も笑みを浮かべて答える。
「あれ?このちっこいの彼氏?」
「まさか。そう見えます?心外だなぁ」
「なっ…」
「だよね。この彼じゃはっきり言ってつり合わないよねえ」
「ん、なんだよてめえっ!」
「ねぇ、君名前は?これから俺とどっか行かない?」
「光。是非行きたい、きっと楽しいんでしょうね」
「勿論!」
この二人の様子に中塚は焦るばかり。一体何が起こっている?目の前で彼女が取られる?そもそも美佳って名前だったはず。