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決心がついたら言うつもりだった。いつかバレる事だろうと思っていたからこそ西門本人に言っていた。だからずっと騙そうと思っていたわけじゃない。でも、どこからかバレる前に西門には自分の口から言っておきたかった。それが寝ぼけて言ったなんて、自分はバカ。大バカだ。これからどうしよう、そう考えるも光は煙草だけを持って屋根へと上がった。そして父親に話しかけるように紫煙を見た。

「…バレちゃった。本当はね、自分が一人立ち出来るようになったら言おうと思ったんだけど…」

バレてしまったものを悩んで居ても仕方ない。これで婚約破棄になったとしても、皆と一緒に居られなくなったとしても、それは全部私のせい。また新しい婚約者が来て、その人の事を少しでも気に入れば良いじゃない。

「……楽しかったなぁ」

意外と。最初はこんな人が相手なんて嫌だと思ってた。ゲーム感覚で、負けたら諦めよう、そう思っていたのにそれはきっかけもなく私を楽しくさせていた。光は煙草の火をもみ消して立ち上がった。そして着物を取り出して素早く着替える。そう思えば向かう先は一つだけ。背筋伸ばして、もう自分に嘘はつかない。


西門家の前で光は困っていた。このまま行こうか、いや、行くと決めたんだから。そんな時光の携帯が鳴る。それは西門からだった。

《もしもし!光!やっと出た。お前どこいんだよ!》

「え、西門さん家の前」

《はぁ?くそっ。入れ違いかよ!今から行くから待ってろよ。逃げんなよ》

もう逃げないよ。光は一人案内された西門の部屋で主の帰りを待つ事にした。

「ったく、お前さぁ、家に来るなら来るって言えよな。お前ん家まで行っただろうが」

「…ごめんなさい」

やばい、すごく緊張する。私はこれから人生を左右する言葉を言わなきゃいけないと言うのに。

「つーか何でお前着物?」

気合入れてきた。そういう光の笑顔はどこかぎこちない。そしてすぐに膝をついて頭を下げた。それに西門は呆然とした。

「…私は総二郎さんにお話していない事がありますが、最初に謝らせて下さい。申し訳ございませんでした」

「ちょ、ちょっと待て。謝んのは話してからにしろ。俺が全く事情を飲み込めてねぇから」

慌てて光の肩を掴んで起こすと光の目は涙ぐんでいた。

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bkm
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