「とりゃ!」
「うおっ!あぶねー!お前出会い頭にとび蹴りとか何考えてんだよ!」
西門の姿を廊下の先で発見した光はそのまま走り出し、西門にとび蹴りしようと跳んだのだが、それを避けられてしまい、光はその場に着地した。
「光ちゃんすげー!今かなり跳んでたなぁ」
まぁね、光は誇らしげに立ち上がった。そして一応決めポーズまでとる。
「今総二郎さんのせいで、学園内つくしの話で持ちきりです」
そこにちょうど良く道明寺に連れて行かれる途中のつくしが通った。
「お、がんばれよ――っ。牧野」
「あってめえ西門ッ!」
ほら、敬称も忘れるくらいつくしは怒ってるじゃないか。
「あんたの口を信じたあたしが馬鹿だったっ!このボケカス、男のクズッ!」
「わりーわりーこいつらに喋ってるとこ聞かれたらしくてよー」
「死ねッ!」
「つくしー大丈夫ー!この人には私が一発お見舞いしておくー!」
あぁ、もうよろしく頼んだ!それだけ言うとつくしはいなくなってしまった。
「思い出すぜ、初体験。俺、中学ン時5歳年上の使用人だったんだよな」
「俺はけっこー牧野は堅いと思うぜーあとは司の押し次第だな」
今夜“決める・決めない”に5万円。この二人は友人を平気で賭けに使うんだな…。光は小さく溜め息を吐いた。
「で、総二郎さん。ちょっと一手――」
「何が一手だ!俺は女殴る趣味はねぇ!」
つーか、本気だったのかよ!なんとも恐ろしい婚約者だと思った。
「大丈夫、殴られないし。ね、お願い。私強い人と戦うの好き」
「そんなお願い聞けるか馬鹿!」
「寸止めでも良いから!」
「よくねぇよ!」
この二人も相変わらずだなぁ。でも二人共楽しそうに見えるのはいつからの事だったか。美作は攻防戦を繰り返す二人を見ていた。
終
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bkm