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着信:西門総二郎。光は何度この着信を見た事かと思った。着信履歴も彼で埋まりそうな気がしてならない。シャワーを浴び髪を乾かした後光はその電話を取った。

「もしもし?こんな朝からどうかしたんです?」

《大ニュース!お前今どこいんだよ!》

「どこって…師範の家です。すぐに出ますけど…ニュースって何ですか?」

《会ったら話すわ!とりあえずお前早く来い!》

それだけ言うと一方的に電話は切れた。特に急ぐ事も無く光は通常通り少し走りながら学校へと向かった。

「宮永さん、おはようございます…!」

「…あ、おはよう」

そんなきっかり90度に頭下げなくても…。すっかり舎弟を持ってしまった気分だった。光は自分の教室に向かう前に西門の姿を探した。

「あ、総二郎さん、あきらさん。おはようございます。で、大ニュースって――」

「牧野が司ん家で住み込みで働いてんだと!」

挨拶なんて手をあげる程度で西門はすぐに本題に入る。まぁそれでも良いのだけれど。光は西門の言葉を反芻した。

「つくしが道明寺さんのお家で住み込みで働いている?」

「そうそう、今日の朝司ん家の前に居る牧野に会ってよ、聞いてみたら住み込みで働き始めたって」

「…確かに給料は良いだろうし、いつでも道明寺さんが居るし…つくし一人にするよりは良いだろうけど…総二郎さん声大きい」

その声量なら色んな所まで聞こえてしまっただろう。またつくしに非難が行くに違いない。空気読めないのはどっちだよ、光は西門を睨みつけた。そして光の予想通り放課後にはその噂で持ちきり。

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