「ひゃー牧野ん家すげぇー」
色んな意味で。つくしに了解を取っていないにも関わらず、光、西門、美作の三人はつくしの家の前まで来ていた。
「にしても光、お前は止めると思った」
「つくしの家に行った事なかったの。なのにシゲルさんはあるんだよ?ずるいじゃん。大丈夫。それにお土産買って来たし」
ここまで来る間光は車を一旦止めてもらい、人数分のケーキを調達した。それできっとつくしも許してくれるだろう、そんな期待。
「類もおせーな。あいつ道に迷ってっかもな」
「私見てこようか?」
「その内来るだろー」
それから10分後、ようやく類を連れたつくしが帰ってきた。
「よんでないっ!」
そんな大きな声が響いたが、それでもお構いなしに皆はつくしの家へと入る。
「つくし、ケーキ買ってきた。皆で食べよう?」
空気読めてない!相変わらずの光の反応にも困ったものだ。そして男達と言えば、部屋を興味深そうに見渡した後、
「「「俺ん家の風呂の大きさ」」」
「ほっといてよっ!」
声を揃えて言うものだから、尚更つくしの怒りは増えた。
「お茶淹れる?私がやるよ」
「お客さんは座ってて良いの」
そう言われたもののどこへ?どちらの部屋へ?地べたに座っても良いんだろうか。なんて失礼な事は流石に言えない。
「そーだ、司も呼ぼーぜ」
「だっ、だめ!」
西門の言葉につくしはいち早く反応した。
「――なんで?」
つくしの言い方に気になる所がある。つくしがこういう反応をする時は何かある時か…?光はジーッとつくしを見た。
「な、なんでってあんた達みたいにでかい男が4人も入ったら床抜けちゃう!」
「そういやあいつ何してんだ」
「学校にも来てねえな」
「シゲルとうまくいってんじゃねーの?」
おっ、天井もすげーレトロ。西門の言葉を聞いて光も天井を見上げた。椅子に乗ったら手届くだろうね、総二郎さんなら。小さく笑いながら言う。
「牧野知ってる?」
「…知らないよ」
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bkm