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「…宮永家なんて関係無しに好きな事を一生懸命したいなぁ」

「…家、出たいの?」

「出たいのか出たくないのかそれすらも分からない位置に私はいるんだよ」

だからはっきりと目標に向かっている静さんに憧れてるんだ。光は切なく笑う。

「…光は、好きな人、もういいの…?」

もしかして光はその好きな人の為に家を出たいんじゃないか、つくしは以前聞いた事があった光の好きな人の話題を振った。西門さんと婚約しているけど、お互い嫌がっているようには見えない。普通に仲が良いのは諦めているから?でも、好きな人が…つくしは光の事情が分からなくて眉間に皺を寄せた。

「ん〜今となってはね、今その人の事を好きなのか分からない。でもね、もし好きだとしてももう戻れないの。私が壊してしまったから恐れ多くて顔を合わせられないわ」

「…壊した?」

「私がね、言ったの。あなたの家は宮永家にはつり合わないって。ね、最低でしょう?」

どうしてそれを笑いながら言うの?笑ってるのに目は泣きそうになっているよ。つくしは眉間に皺を寄せた。

「…その彼は…?」

「…いつか、お金持ちになって、有名になって私を迎えに行くからって、宮永家に釣り合うようになったらって言ってたよ。でもね、宮永家と釣り合う家になんて一朝一夕には出来ない。だってこっちはすごーく昔から続く名家だよ?会社立ち上げて、どれだけ頑張っても血には勝てない。私はその嘘を信じきる事が出来なかった。私の恋はそこで終わり。私は結局彼よりも宮永家を取ったの」

ね、私はひどい女なんだよ。つくしに格好良いなんて言ってもらえる資格なんてない。

「…だからこそ、私はつくしと道明寺さんに自分を重ねてた。でもまぁ、それはつくしが決めた事だから仕方ない。わ、時間やばい!それじゃあね、つくし!」

友人は手を振りながら去って行った。自分の知らない、自分には一生縁の無い事が次から次へと出てきた。婚約者、立場、家、どうしてお金持ちの親は子供に自由の権利をくれないのだろう。



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bkm
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