「え、シゲルさんが毎晩夕食食べに来て、しかも道明寺さんとの話を…」
シゲルさんって空気読めないタイプ?それともわざと?いやいや、どちらにしてもたちが悪いと光は溜め息を吐いた。つくしからちょっと聞いてと言われれば道明寺の話ではなくシゲルの話。
「…でさ、それをさり気無く西門さん達に言ってもらって」
それを更に道明寺さんにってどれだけ遠回りするつもりだとつくしの考えもまた溜め息ものだった。
「…あのね、つくし。この前あきらさんも言ってたけれど、こういうのは第三者が入ったら碌な事ないと思うよ?二人だってそういう事には協力してくれないと思うし、そういうのは当事者で解決しろ!」
「な、何か怒ってない、光…?」
光は息を吸い込んだ。
「私だってつくしの家に行った事ないのに、シゲルさんばっかずるいし!かと言って、シゲルさんと鉢合わせしたらつくしの家の食費大変な事になっちゃうし!」
それを心配するのもいかがなものか…このお嬢様は一体家で何を食べるつもりなんだろう、それが少し怖いと感じたつくし。
「…あ、ごめん。私校長室に呼ばれてるんだった」
光は腕時計を見てからすっと立ち上がった。そしてスカートの形を綺麗に直す。
「校長室?何でまた」
「ん〜この前賞取ったんだけど、学園から改めて賞状を渡したいからって言われて。いらないのにね、そういうの」
何より他人よりもやけに校長室に呼ばれる機会が多い気がして嫌なのだけれど。問題児みたいに思われても仕方ない。
「賞?あたしなんか読書感想文でしか…華道の何か?」
「そうそう」
最優秀賞取ったんだよ。そう言う光の顔は特別嬉しいと言う様子は無い。取って当然という表情に見えなくも無い。
「すごいね」
「確かにすごいかもしれないけど…私はもっと上を目指してるから、もう次の事考えてるんだ」
「…光ってば格好良いよね。シゲルさんも珍しいタイプのお嬢様だと思ったけど、光は椿さんや静さんみたいなタイプだよ」
「…そんな事無いよ。私は静さんみたいになりたいだけ。いつかこの長い髪をざっくり切ってみたい!」
えぇ、そこに憧れてんの!?相変わらずどこか少し抜けてるな、光は。つくしは小さく笑う。
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bkm